2003年10月の日記

■2003年10月23日(木曜日) 九州旅日記 旅情篇


 秋の陽をうけて

シャンパンゴールドに輝くススキの大海原

Amore 八木の九州旅日記 旅情篇

日本のバーテンダーとして、20年の歳月を数える事となった。

初めこの仕事を志した当時街の酒場には 大衆居酒屋〜カラオケスナック
と言う流れが幅を利かせカクテルらしきものは、楡の木 ピレーネに
代表される カフェバー にオンメニューされたものと
トロピカルカクテル ブームを仕掛けるサントリー製ボトルメードなどといった
私が求める本物の姿とは 程遠いものばかり・・・。

もちろん 私自身も初めから本物を知っていた訳も無く飲むほどに
酔うほどに大きく膨らむ不満足感は自身のグラスからこぼれそうになっていたのだった。

それと同時に居酒屋などで大きく勢力拡大して行った日本のカクテル?
‘チューハイ’
その語音から伝わるええかげんっぽい軽薄感が
BAR(酒場)に対して大きな憧れと敬意を持つ私にとって
耐え難い障害になっていたのである。

その頑なな心をほぐしていったのは 他でもなく旨い焼酎!
10年ちょっと前からホルモン系をほおばる時は焼酎ロック
旨い焼酎に本格的にはまってしまったのが5〜6年前。
そして、世界唯一の食中スピリッツ‘焼酎’を愛する正しい酒呑人として
成長した40歳の私にとって そして、日本のバーテンダーとして九州をじっくりと旅してみたい!

それから、もう一つ
小学校(3〜5年)の頃 に家族で一度きり訪れた九州。
さんふらわあ号の横を飛んでゆく飛魚の群れ 朝の光を浴びて輝くその群れを
追いかけて瀬戸内海を躍動感たっぷりに泳ぎ跳ぶイルカの群れ。

その家族旅行で何よりも私の心にしっかりと焼き付いたのは、

深く瑞々しき青と翠の中に とけこむ
透き通るような アスファルトの芸術 やまなみハイウェイ

運転免許を取ってからずっと走りたかった憧れの道
2ストロークのロードレーサーで溶けちゃいたいけれど長旅には・・無理。
それなら・・・オープンカーで走りたい!
そして 快くユーノス ロードスターRSパッケージを貸してくださった
吉村さん 本当に有難うネ!
何か前フリが長くなったけれど男の一人旅は、ちゃんとそれ相応の
理由とこだわりが有るものなのである。
そんな酔狂の判らぬ女子供にこの崇高なる恥筆を拝む資格は無い!
ミルキーでも舐めながら オネンネしな!

と言う事で、この先をご覧頂くことのできる
おめでたい有資格者の皆様 あなたも、ファンタスティック愛好家?

 9月28日(日)晴れ 大阪発

いよいよ待望の九州一人旅の始まりの日。
きっと、関心して頂けると我ながら思うほど10泊11日の旅の荷物を
コンパクトにあのロードスターに積み込んだ私は 、

注)楽しい事ばかりではなく、実はこの旅は貧乏旅行・・・まぁそれも楽しいのだが・
・ホテル等に毎日泊まっていてはお金が続かないので 宿に一泊すれば2泊は
キャンプで自炊  その為のテントや調理グッズそして 海釣り 渓流釣り など
様々な荷物にカメラetc・・・本当にロードスターに積めるの?と云われそうな程たっぷりと・・。

勇猛果敢に阪神高速に飛び乗り?南港を目指したのだが途中の分岐点を
間違えて何故か車はUSJ,神戸方面へ・・・。
早速のトラブルに追い討ちをかけるように沈む夕日 迫る出航時間 無駄なお金
  トホホな気持ちでスタートした九州一人旅。
何とかさんふらわあに乗り込んだものの、腹減ったなぁと
レストランに行ってみればマズそうなもんばっかり。
売店に行ってみればまた高いし、ちゃんとセブンイレブンで買出ししとくんやった・・
前途多難を予感させる旅の初日〜
冷たい風が吹くデッキで洋上から見る神戸の夜景の美しさをせめてもの慰めに
それこそ・・・今日はこの辺にしといたろか!と40男は眠りについたのだった。

9月29日(月)晴れ  別府、宇佐、佐賀関、大分


九州一人旅の ファーストカット  別府湾の夜明けと ロードスター ヨシムラ RS

別府湾の 美しい夜明けに迎えられた私は、
昨日のトホホとはおさらばじゃ!とばかりに別府の街へ。

覆面パトカーと白バイ、ネズミ捕りの宝庫に住む私は 片側4斜線の国道10号線は
朝6時過ぎとはいえデンジャラスロード。

70キロ弱で走る私を邪魔者扱いして100キロオーバーで走りまくるラテンな皆さん
ほんまかいな?と思いつつ猛る気持ちを抑えつつ先ずは、ガスチャージ
とはいえ、6時過ぎは さすがに早すぎ(今思えばこのタイミングは、絶好の温泉タイム・・・)
ようやく7時ごろ満タンにして向かうは宇佐
焼酎好きには云わずと知れた 麦焼酎 の郷である。


宇佐 豊前長洲の波戸 兼八のすぐそば

何となく ポートエレン(スコットランド,アイレイ島)を思い出す港町にある
四ツ谷酒造をおとずれ蔵見学、ほのぼのとした気持ちで
兼八 の蔵を後にする時 四ツ谷さんにやまなみハイウェイの話をすると
今日は天気もいいし最高ですね!との言葉。

別府から既に50キロ オープンエアで気持ちよーく走ってきた私は心の中で
おぅ あたぼうよぅ!と気分良く応え大分道を利用してまた別府へ。

カルロス サンタナのギターに乗ってやっぱりええなぁオープンは・・・

別府に戻りチェックインの手続きを済ませた私は憧れの竹瓦温泉にて
汗を流し 次に向かうは あの 関あじ、関さばの 佐賀関。

ようやくたどり着いた漁港で関さばなどの箱詰め作業を見学した後
あんまり気が進まなかったがガイドブックに乗っているお店 関の漁場へ。

おなかぺこぺこで入ったお店はさすがにグルメブームとガイドブックの力?
愛想もクソもないこの店にたっぷりの観光客らしきお客の数々
がっかり 感たっぷりでここを後にして道の駅 佐賀の関 で記念撮影。


クラッシュ前のロードスター ヨシムラRS最後の雄姿と佐賀関の海

帰りに関アジなどで有名な富士見水産へ、女性スタッフの丁寧な応対に関心しつつ
ここも後にしようとした矢先、こちらの会長さんが戻って来たのです。

黒々とした顔に伸びたというより少々反り返った背筋の元気一杯の老人?は
まったく初対面のこの私に‘今夜大分で会食が有るからいっしょに来なさい’・・と
そして、実際 関アジなどが水揚げされ出荷されるまで活かされる生け簀のある処まで案内され
社長(息子さん)に色々と説明を受けているそのさ中にも
会長さんから、電話がありお誘い頂いたので喜んでご一緒させて頂く事にしました。

そうこの後 前夜に勝るとんでもない トホホ が私を,待ち受けていたのであった。

あのロードスター ヨシムラRSがぶつけられてしまったのじゃ!!

大分への道すがら,路側に車を止めて荷物整理をしている私の目の前を
反対車線の郵便局駐車場からバックで迫る白のイプサム!
携帯電話片手にまるで無防備にバックする運転手には・・・届くわけもない

おい おい 止め 止め 止め〜!

の叫び声も虚しくロードスターの右前フェンダー部分にぐしゃっ!
あまりの トホホ感 に思わずしゃがみ込んでしまった私。

富士見水産の会長さんとの会食中に何とか大分の中古車センターに展示中の
代車を用意させて(クローズトップでは,意味が無いので・・)
基本的な目的には、支障は無いものの借り物の車を自分のせいで無いに しろ
・・・落ち込みまっせほんま!

トホホな事故 トホホな料亭(ほんまかいなと言う様な内容・・・
・・・もちろん会長さんのご馳走なので偉そうなことを、言ってはいけないのですが)

代行運転でホテルに戻り部屋のカーテンを開けると15階の窓の外は
きらめく様な別府の夜景・・ダブルのシングルユース・・・・・・・淋しいぃーッ!

財津一郎のギャグそのままの初日 明日を信じるかすかな強がりを胸に
Amore 八木の九州トホホ旅 いやいや 九州一人旅は続くのであります・・・・・。

9月30日(火)晴れ 温泉中毒の始まり〜やまなみハイウェイ

前日までのトホホ感とオサラバすべく今日も快晴の九州地方
朝食の後はホテルすぐ横の老舗公設温泉 不老泉へ。

うーん やっぱりええなぁ〜  と爽快な気持ちで別府を後にしていざ阿蘇へ。
事故車にレーダー探知機を残してしまっているのに気が付き
この後もタップリと走る事を考えるととっても不安やけど
眼に浮かぶやまなみハイウエィに対するワクワクは、どうにも抑えられず

いくぞーっ! ダァーァ!!

別府から湯布院 阿蘇へと続く県道11号線は云わずと知れたやまなみ・・・
C・D・E・F・G の温泉たち(温泉篇↓参照)
を絡め
飛ばしてはひと浸かり〜癒されては、また飛ばす!

2,3,4,5速の3,500回転〜5,500回転を駆使してのスポーツドライビングを
楽しみ ちょっぴり緊張した心身を、湯布院、阿蘇の温泉はやさしく溶かしくれました。

この頃には前日までのトホホ感は何処へやら
極上の打たせ湯‘筋湯温泉’を最後にやまなみハイウエィのメインロードへ。

もうすぐ筋湯温泉 この旅の最初のセルフタイマーにての撮影

イヤッホー!!
独りで叫んでる姿の寂しさは想像に易いが もう、そんなんどうでもえぇ!
ってな位に気持ちいぃーっ!
約30年前に訪れた時は夏のやまなみハイウェイ〜そう青と翠の〜
でも、今回の景色は少し傾いた秋の陽をうけて若いススキの穂が一面・・・
シャンパンゴールドに輝いているのです。


平日という事もあり交通量はいたって少なく飛ばし放題!
あんまり飛ばしてばかりでは、景色に対して失礼。

ヴェナビスタ ソシアルクラブをかけながらゆっくりドライブもおつな物
音符と溶け合うようなススキが原を味わいつくすように阿蘇パノラマラインへ。

忽然と不思議な造形を現すラブリーな米塚、そして

この辺りは、牛、馬優先です の看板よろしく巨体を揺るがせ
馬がゆったりと歩く草千里  もくもくと噴煙を上げる山頂。

こんなにいい気持ちを独り占めするのは心苦しい位に最高のオープンドライブ
この感動を絶対子供達にもを与えたいっ!・・仕事がんばろ・・・


たっぷり2人前以上あるバラエティー豊かな馬刺し盛りが・・・

・・・そんな感動ドライブの後スーパーで馬刺しなどを買って(さすが地元 やすい!)
今夜は、日暮橋(阿蘇の麓)の袂でキャンプ  
・・・・それが、この日は 阿蘇に初霜が降りた1番の冷え込んだ朝晩。
あまりの寒さに凍える夜はテントの中でキャンピング バーナーを点けたり消したり 
 眠れぬ一夜を過ごし やっぱりこの旅は トホホ なのか・・・?

10月1日(水) 菊池 植木〜熊本の夜

凍てつく様な夜を堪え朝を迎えると、
お陽様の 有難さをつくずくと感じながらキャンプセットの撤収作業に取り掛かる。
完全な寝不足と寒さから来る体中の疲れでのトロトロ作業、
夜露でびっしょりのテントを拭いて、収納するのも一苦労
50分もかかってようやく完了。

それでも やっぱり オープンエアー で走ろう!
足元にはヒーターを効かせながら、この体が求めるあの場所へ・・・
そう あの場所とは・・・当たり前だの・・・温泉よぅッ!
約35キロ先の菊池に向けてれっつゴー!

のどかな 農村の風景に秋の訪れを感じつつ ふと香る金木犀の甘い香り
農村エリアを走るのに最適?なスピード70KmでNHK FMから流れる
クラッシックに身を委ねもうすぐたどり着くであろう菊池温泉入浴の前にまずは、
心の洗濯から・・・するとまるで私がリクエストしたかの如くオンエアーされた
メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲ホ単調

奏者は アナスタシア なんちゃら・・・、ロシア政府から特別貸与された
ストラビバリウスの?年製での演奏です・・・  

ええ感じなんちゃうん・・・とボリュームを上げてのドライブ。
しかし ふと バックミラーに映る一台の車、
明らかに70キロオーバーで走っている私の車をアオッて居るではないか!
SR-Vでこのロードスターを?・・・・上等やんケ。

交差する道が無い様な山手まで辛抱して・・・やっぱりやる気?
おもむろに4速から2速へとシフトダウン 弾けるロードスター すがるSR-V
その隊列も2コーナーほどのつかの間。

すぐにバックミラーからその姿も見えなくなりスポーティー走行へ・・・
しかし秋晴れの しかも こんなに瑞々しい秋の木漏れ日の中・・もったいない・・
メンデルスゾーンきこ聞こっと!・・・っとばかり路側にてリスニングタイム。

5分、10分・・・おかしい あのSR-Vが来ない・・脇道無かったのに・・・
クラッシュ ?・・・まぁええか、こんな山の中どーせ自爆やろ・・・と意に介さず
メンデルスゾーンを聞き終えると いざ菊池温泉へ。
先ず市街地の情報は観光物産会館へ行って収集することに・・・
温泉などの情報も仕入れ先ず薬師湯へ。

冷えと寝不足でコチコチの体を露天風呂でほぐし綺麗さっぱりリフレッシュ 
ちょっぴり汚れたロードスターも綺麗にして(表の水道も温泉!)
再び物産会館に戻って食材の物色  なんと烏骨鶏卵が10個1,000円やすい!
風情の有る城下町には良い酒蔵があるもの 菊池にも菊の城があるのです。

この菊の城の大吟醸に出会った15〜6年前 香、膨らみ 日本刀の如き切れ味
すべてにおいて完璧な酒として感動したことを、覚えていました。

急な訪問にも拘らず 快く私を歓迎して下さった蔵元さんも
その当時の酒が忘れられない様で、暫く調子を落としていた様に思われるこの蔵で
この2月に搾った酒を是非 利いて見て下さいとの事。

「いいじゃないですか・・・」 「そうでしょ・・・久しぶりに・・・」
そこからはもう、すき腹というのも忘れ次々に出される菊の城 色々・・・
つまみに出して頂いた瓜の粕漬けがまた旨い!お弁当もご馳走になり
お昼から絶好調!赤ら顔で宴もたけなわで記念撮影。


真昼間から赤ら顔で御機嫌さん 菊の城 有田さんと

お土産に持たして貰うと生酒は痛むので瓜の粕漬けと一緒に送って下さるとの事
その上 温泉にでも入って酔いを醒まして帰って下さいと、
菊池グランドホテルに電話を入れて下さって・・・・本当に」有難う御座いました。

露天風呂の最深部が女湯と繋がっている 混浴?の植木温泉にも入ってから熊本市内へ・・・
馬刺し屋さんの紹介の小料理屋にて食事をして そちらで 紹介して頂いた
BAR `ぷれーやーず’へ。 
正直言ってあまり期待していなかったのだが
それがなんと!酒場LOVERの私には、扉を開けた瞬間から薫る
GOOD BARにしか流れていない‘空気’がプンプンと・・・

先代から数えて40年の歴史を持つこのBARのバックバーには
お宝ボトルの数々・・・心地よい酔いに丁度いい2杯の酒を飲み
店を出ると ここから暫く大人の時間 約130分
子供には分らない心地良い疲労感とホテリを夜風が優しく冷ます。

やっぱり最後はGOOD BARで締めくくるか・・・
再び‘ぷれーやーず’を訪れた私は、素敵なママさん(先代の奥様)と
歴史有る このBARを仕切る2代目マスター の前で
最高の酒を飲み熊本の夜を終えたのであります。


10月2日(木) スペイサイドならぬ球磨サイド&人吉へ

当初 九州道で人吉を降りて球磨焼酎の郷を訪れる予定であったが、
前夜の‘ぷれーやーず’にて隣り合わせたお客に八代〜人吉はトンネルだらけ
・・・と聞きそれならばと、オープンにこだわる私は 八代で 降りて
母なる球磨川を遡上するルートをえらんだのである。

その思いに違わず深く碧く流れる球磨川に魅せられ快適なドライブを・・・・
の想いとは裏腹に古く荒れた路面、そして狭く曲がりくねった道で仕方ないにしろ
トロトロと走るダンプカーの群れ。
いいかげんにシビレを切らした私は対岸のルートを選択し 
余計狭いけどキビキビ走るほうが気性に合っている様で お陰で 球磨川の畔で記念撮映。


球磨川 中流域畔にて

番外の吉雄温泉みたいな貴重な体験も裏道のお陰?で楽しいものです。

昼前に人吉に着き、先ずは人吉旅館のお湯に・・独特の深い湯船で
座って入れる 好いお湯でしたが値上げしていたので◎印はなしョ。

お昼に久しぶりに焼き飯を食べて向かうは 奥球磨 豊永酒造。

地図からの受ける印象よりも奥深さにびっくりの球磨地方
迷った末に到着した豊永酒造で感心したのは 蔵の清潔な事。

豊かで清らかな水に恵まれたこの地ならではのものでしょう
この蔵の観無量 の出来の良さも頷けるというもの・・・・
言い方は失礼かもしれないが そんじょそこいらの吟醸蔵 が
恥ずかしくなる位にやる気と一生懸命が伝わる蔵でした。


蔵裏の有機米 西海134号の田んぼ前にて豊永氏と

その夜は球磨川畔に設営したテントを後にして人吉駅前の地元料理を
食べさしてくれるお店へ。 それから結構流行ってそうな洋食屋さんへ・・・

大阪から来たと云うとすごく歓迎していただき思いでも出来たのだが
ちょっと残念に思ったのは地元人が自然に色んなシチュエーションで
球磨焼酎を飲む姿に触れたかったのに皆さんが召し上がっているのは
ビールに始まり 芋 又は、麦・・・

半年ちょっと前までは、考えられなかった姿だと豊永さんも
寂しそうに話しておられたのが思い出された。

10月3日(金)  球磨〜鹿児島の阿久根へ

少々二日酔い気味の目覚めも毎度の事で 球磨川畔のキャンプを
早々に撤収し この日は 米焼酎で初めて感動させられた銘柄‘松の泉 古’
を醸す蔵元を訪れ そして  この1年で一番旨いと思った芋焼酎
’蔵純粋 'を造る鹿児島は阿久根の大石酒造に向けて走る。

でもその前にやっぱり朝風呂は、かかせぬもの。
前夜の洋食屋さんで隣り合わせたお客に教わった人吉の温泉はココ!
と言われる 新温泉 に・・・

期待に違わぬ ひなびた それでいて過不足の無い清楚な佇まい
ポスターのモデルにも選ばれたこの湯も温泉道の正道を行く
さすが・・・・愛すべき湯でありました。

爽やかな朝の風に乗り キレイキレイしてあげた ロードスターを走らせ松の泉酒造へ。

蔵の敷地の地下に炭を敷きつめる白と黒が美しいこの蔵は
仕込が始まる1週間前と言う事で静けさの中にあった。

昔の麹室を使った貯蔵庫に私の愛する 古 の原酒甕が並ぶ
その風景と相反するような最新設備のピカピカの蒸留器やタンク達
見学の後伺った話によると 20数年前まで(6・4のコマーシャル前)

この地の人々は40度程の焼酎を生で、または何と燗をつけて飲んでいたとか


松の泉 古 貯蔵甕の真ん中で井上氏と

マイルドな焼酎を造ると あの蔵は燗冷ましを飲ませよる!
と云われたそうな・・・・恐るべき哉 アルコール愛!!
酒好きの私もびっくり・・・でも何かうれしくい気持ちでこの蔵を後に。

ガソリンも満タンにして向かうは芋焼酎王国鹿児島へ

国道267号を飛ばしのどかな秋の田舎道を進む。
ふと左手に 明哲温泉 の看板が眼に飛び込む
もう素通り出来ない体になってしまった私はやっぱり温泉に・・・

金木犀の優しい香りと そろそろ真上に昇ったお日様のぬくもりを感じながら
お昼の露天風呂はまばゆい光の中で・・・ふぅーっと溶けちゃうのである。
風呂上りに 缶ビールで一服し 売店で売っている大きさ不揃いの卵たち
ここで飼われている7種類の鶏さん達の有精卵である。

一袋約10数個入って なんと150円!安っすー・・・と思わず購入
でもこれがまた旨い!
〜大阪から注文で送ってもらってますので呑酒庵で召し上がって頂けます。〜

烏骨鶏、碁石、伊佐ブラウン、小しゃも、
少女ちゃぼ、柱ちゃぼ、さつま鶏

送って貰うと何故か安くは無いのだが色も形も様々でとにかく
愛くるしくなってしまうのである

再び秋のワインディングろーどへとロードスターを・・・
腹は減っているが走りの願望が先決する。

数十キロの道のりを空腹に耐えながら走りぬくとツルの飛来地で有名な出水市へ。
まだ鶴は来ていなかったが鴨やあひるや鷺を眺めながらお弁当!
そして いよいよ待望の阿久根市へ。

風光明媚で塩湯温泉がアリ さらに魚介類の豊富さと旨さは特筆もの!
先ず マイ芋NO,1の蔵純粋を造る多い大石酒造さんへ。

前日までの‘穀物蔵’とは、うって変わって鮮度が命の「芋」は
9月〜11月の収穫時期にしか仕込めないものなので
この時期は多忙の極み来訪者など無い事が何よりである。

その超忙しい中を割いて歓迎して頂いた大石さん。
私の名刺を見て 「ほー 葡萄と芋ですか!」とちゃんと反応された最初の人物だ。
その感性が有ってこそ生まれる様々なアイデア そして美酒
とても嬉しくなり あぁ来てよかった ー!と実感
その夜のキャンプ地情報と 美味しいお店を教えてもらって蔵を後に・・・


素敵な感性の持ち主大石さんと黄金千貫


魚の旨さは格別の しらゆきさん

大石さんに紹介してもらった‘しらゆき’さんのご主人は若い頃大阪で修行されたとか。
ご主人曰く県外のお客さんが来るのは年に2組ほどで、
なんと今年は私が始めての県外客!そしてたぶん最後だろうとの事。

人見知りする頑固親父はめったな事では一見客は受け入れない
私が訪れてカウンター席に腰掛けると「何で入れるんや!」・・・と
女将さんに文句を言ってたらしいのだ。

でも一旦打ち解けると 後は料理人同士!あれこれと出される旨いもんの数々
ピカピカのきびなご、芭蕉カジキの大トロ、赤海老の刺身・・・
蔵純粋の湯割とともに楽しむ地元の素材と溢れる人情
これこそ旅の醍醐味!極楽浄土!!
ほんとにもう・・・・

阿久根は最高ー!

もう楽しくて嬉しくてつい昼に訪れた大石酒造の時計台が気になって
戻ってみると静かな夜の帳の中に浮かび上がる可愛いその姿

海辺のキャンプも 中々いいもので 
波の音とカーオーディオから流した音楽とののシンクロをタップリと満喫して
最高の夜は幕を閉じたのである。

アイデアマン大石さんが通学する子供たちの為に
蔵の古い煙突を利用してこしらえた時計台



夕、朝と2回入った阿久根グランビューホテルの露天檜風呂

すっかりこの旅の定番となった朝風呂は絶景を一望できる丘の上のホテル
広々とした清潔な檜風呂でほっこりと サッパリと・・・
さて いよいよ向かうは南薩 太陽の国。

 

10月4日(土) 日置南州窯〜南薩摩〜鹿児島市内へ

オープンドライブもすっかりと板につき?今日も快晴の九州一人旅
朝風呂ですっきりしたら向かうは薩摩半島。

この旅の もうひとつの目的でもある 蛇蝎焼の黒千代香を造る
日置南州窯を訪問の為 伊集院へ。

途中でまたも市比野温泉 (夜は男性パラダイスらしい?)にてひと汗流しに
立ち寄るが この川沿いの小さな温泉も中々の風情で、愛嬌抜群のお姉さんが口ずさむ
ソプラノ唱歌を聴きながらの ほっこりとしたひと時を満喫し 窯元へ

昨年 初めて鹿児島を訪れた際に「白波の明治蔵」にあった
千代香コレクションの中でダントツにかっこ良かった逸品がこの南州窯で
焼かれる 黒薩摩 蛇蝎焼(だかつやき) 千代香である。

のっぺりとした印象の平凡な黒薩摩とは一線を隔す二度焼き手法による
この焼き物は年に 3回ほど しかも一度に数個しか焼かない為
とても貴重な物だとか・・・値段もさすがに・・・・であるが、
窯元直 なので少しはお安くなりました・・・ホッ。

こちらの窯元さんは西郷どんのひ孫さんに当たるらしく

こんな写真もあちらこちらに・・・
念願のお宝をゲットした私はにんまり 顔でいざ 南薩へ
この辺り(日置)は鹿児島随一の焼物地帯のようでたくさんの窯元が
密集していたが やはり南州窯が抜けている様である。

ちなみに 私の お気に入りNo 2は、指宿の吟松窯No 3は長太郎窯
後で知った話だが南州窯は長太郎窯のお弟子さんらしい。

今日は蔵元の訪問は予定しておらずのんびりゆっくりと南薩を走る。

熊本の山岳地帯と違い南鹿児島の海岸線を照らす日差しは、
秋とはいえ 想像以上の強さで40男の敏感肌を刺激する。

この辺りから オープンドライブの楽しさと 照りつける太陽に奪われる体力との
バランスに 少々「?」マークが点り始める。

ちょっぴり疲れ始めた私の眼に 「手打ちそば」 の看板が飛び込む
どうやら脱サラか定年後に開店されたらしく 人は良いのだが素晴しくドンくさい。

長々と待たされる間 ある雑誌を手に・・・
そこには 常人の域を超えたしまった私の‘温泉中毒’を遥かに凌駕する
「2人で 12,000湯 入浴」 を成し遂げた「温泉悪魔」のお話があった。

世の中には上には上が有るものとつくずく感心しいると「冷水そば」の到着
 そして 大盛りを注文してしまった事に大変な後悔をする破目に・・・
トホホなお味に 減らない麺
でも、他に来店中のお客は常連客らしく・・・恐るべし!の感。

吹上浜の美しい眺めですこし気を取り直して笠沙に在る「杜氏の里」へ
まぼろし系焼酎の「一どん」を造る こちらの蔵見学はあっさりと断られ
ふつうに観光客コースで・・・でもお仕事中のお姉さん達に てを振って 「はいポーズ」

坊津〜枕崎へと続く極細ワインディングロードを経て昨年お世話になった薩摩酒造 明治蔵へ。
あいにく工場長はお休みでまァ さつまいもビールでも飲んで一休みしよっと!
こちらに併設されている「花渡川ビアハウス」で鰹のはらすの唐揚をあてに乾杯

この赤ら顔はさつまいもビールのせいではなく南薩の強力な日差しのせいなのである。

朝 阿久根のグランビューのお風呂で顔を洗った時には無かったのに
「花渡川ビアハウス」 のトイレで鏡を見ると なんと頬っぺたに
福田総理大臣を彷彿とさせる 「シミ」 が! 出来ていたのである。

男40 一人身に成ってこれからまだまだ 春 を楽しめる筈が・・・
・・・ショック!!  恐るべきかな 南薩の日差し。

鹿児島市内へ向かう九州自動車道のトンネルで渋滞に遭い
排ガス、灼熱、ホコリ ・・・などの厳しい洗礼を受け
ドライブを楽しむ余裕などは 何処えやら
へろへろになってホテルにチェックイン。

天文館に在る 「洋酒館 池田」に向かうが まだ開店前の様で
すぐ近くにあった 「ななかまど」へ
地元のネタを楽しみながらご主人と焼酎談義でも・・・・と想っていたが
熱射病気味のこの身体にクーラー無しのむせ返る店内の暑さに
増々グロキー・・・・。

ほとんど 楽しむ余裕無く「ななかまど」を後に。
池田バーで2杯ほど飲んで帰ろう・・・と 訪れたこのBARに流れるクールな
GOOD BAR の空気にまず安堵。

暑気払いに効果抜群の「ウオッカの水割り」を2杯流し込めば
さっきまでの グロッキーは何処吹く風?
すっかり元気になった私はやっぱりアル中?
気が付けば6杯めの酒も飲み干して帰る勝と思えば そうは行かないのがアル中たる所以。

昨年 他界されたご主人の池田さんが愛したという
「SWING」のフロート を味わいつくしながら
カッコいいバーテンダー道を貫いたスタイリスト 池田さんの人生に 乾杯!
良き酒がアリ  素敵なバーマンがいれば
人生・・・やっぱり・・・ええもんでっせ!

10月5日(日) 桜島〜宮崎 松露の矢野さんとのゴキゲンな一日


この旅行の中で最も忘れ得ぬ一日となったこの日の朝も
ご多分に漏れず温泉から・・・

桜島フェリーに乗って鹿児島のシンボル桜島に上陸。
驚いた事にフェリーの料金所のお兄ちゃんは、車の車種で車両寸法を正確 に覚えているのである。

初代ロードスターの 3,99M は知ってたけど 1,8Lにアップした
2代目ロードスターも同じだったとは・・・。
4M以下の料金を見事に告げた兄ちゃんに・・・さすが!と感心していざ宮崎へ・・・とは云うものの
いかにも 温泉ファンの期待を あおる様な「マグマ温泉」というネーミングは
到底無視する事はならず 、早速一っ風呂。

超 鉄棒な 匂いがする お湯で雰囲気は有るがぬるいのが玉にキズで不満足
そこへ 松露の矢野さんから電話・・・「お早うございます、今どちらですか?」
そう、矢野さんは熊本入りしたばかりの時から私に歓迎のお言葉を頂き
今や遅しと待ちわびてくださっている様子で、度々電話をいただいたのである。

さぁ 急いで宮崎まで・・・オープンドライブ!・・・とは云え 昨日の日焼けは
40男の回復遅い肌を容赦なく照りつける。
今日は痛みさえ覚え「これは 何とかせんと・・」・・と道すがらのドラッグストアへ
素敵なお姉さんのデモンストレーションに釣られ「これ、下さい」・・
・・・「4,900円で御座います。」・・・ちょっ ちょっと 勘弁して・・・
化粧品に普段金を使わない40男には‘べらぼうな’・・・と感じてしまうのだ。

結局980円の安モンを買って塗って見ると・・・アラ 悲惨!
上等のを塗ってもらった左手はしっとりと いい感じ・・・
それに対して 自分で買った安モンを塗った右手や 顔、首は
薄紫にギトギト光って「かっちょ悪ー!」
今更ながら「安もん買いの 銭失い」を実感して あぁ ガッカリ。

ほぼ 4時間のドライブを終え  いよいよ宮崎は串間へ
右手に広がる美しい海岸線・・・んーん 南国 宮崎!気持ちいいー!
矢野さんの電話案内でようやくたどり着きそうになったその時
「そこでストップしてください!警察が見張ってますから・・・」
ご丁寧に 一旦停止の取締りを教えて頂いたのです。

それにしても こんな田舎道で しかも日曜の超 交通量少ない処で・・・
大阪人には 呆れ返るほどの呑気さ。田舎の警察 恐るべし!
そして、ようやく たどり着いた焼酎蔵「松露 酒造」


松露の矢野さんと南国の青空の下

迎えに出てもらわなければ 解らない程で 看板は蔵の中にあるこれだけ・・・
早速 蔵を案内して頂き 色々と教えて頂きました。

白麹にこだわった蔵なので 他の蔵を回ってきた私に 念入りに足拭きなど
指示され 蔵内の環境保全に努めておられる様子。
廃液処理の設備まできっちりとご案内頂いてから事務所に戻り
御用意して頂いた‘ お昼’を頂きました。

色々と話し込むうちに趣味の話に・・・「お休みの時は、どんな事を?」
の問いかけに、「シー カヤックをやってます」・・とおっしゃったので・・・
・・・「いいですねぇ!憧れです」と話すと・・・「じゃぁ 今から 行きますか!」
やったぁー!と ばかりに 「いいんですか?」

「行きましょう!」

先ずは ご自宅に向かい準備を色々と・・・
そして、専用の倉庫に行って びっくり!なんと カヤックの軍団が・・・!
伺えば ご自分だけではなく 家族やボランティアでのイベントなどにも使われるそうで
ほんとに 半端じゃないこだわり方。

今日は これで行きましょう!とカヤックをセレクトして SR-V に乗せると
数々の装備と共に青々とした海へと向かう。
私を前に 矢野さんが後ろに「あの島まで行きましょう!」と漕ぎ出すカヤック
音もなく水面スレスレに小気味良く進むカヤック
やっぱり 想像してた通りの気持ちよさ!途中珊瑚礁を見せてもらい
「お宝」取りの為の 岩場へ舟を繋ぐ。

ベテランの矢野さんは 深場まで行って「お宝」採り
ビギナーの私は 浅いところで「「お宝採り」ごっこ・・・
海面から見つけた 大きそうな雲丹を必死の思いで採ってみたら
情けなくなるほどの小ささ・・・。

小1時間ほど「ごっこ」を続けるうちに 足びれ に履き替える前のシューズを
波にさらわれた事に気付き必死で捜しているところ 矢野さんが戻る。
矢野さんも探して頂いたが 見つからず・・・ごめんなさい!
私が一生懸命採った「お宝」は 全く‘アウト オブ 眼中’で
「どうぞ 食べてください・・・」と 小さいけど鮑を差し出す。

ん旨いっ!

うなる 私に笑顔で肯く矢野さん。
「これも どうぞ!」っと次々と「お宝」を下さるのは嬉しいのだが正直言って 酒呑みたいっ!

気分はもう 陸の上・・・塩味効いた新鮮な「お宝」を「松露で一杯!」
それを 察してか「 じゃぁ 島をひと回りして 戻りましょうか・・」
もちろん 待ってましたとばかりに オールを かく手に力がこもる。

陸に上がって感心したのが ペットボトルに入れられた「水」
日なたに置いておかれた為「お湯」に成っているでわないか!
そう 海からあがり冷えた身体を温めながらの「シャワー」である!


青い海とシーカヤック そして「お湯」シャワー

もう ほんとに 何とも云えない充足感に満たされお家に向かう道すがら
「海水で今採った 貝を 茹でてる間に温泉でも行きましょうか?」・・・
・・・やったぁー!(またまた)である。

串間温泉は塩湯で湯冷めしないとか・・・
風呂上りは いよいよ 待望の「お宝」&酒が・・・そう想うだけで
温泉の如く 湧き上る‘ ツバ’と  こぼれそうな ‘ ヨダレ’・・・。

お家にお招き頂いて いよいよ 「お宝」の登場!
ビールと共にいただく「お宝」は ‘磯粒貝’‘鮑’‘すだれ貝’そして
奥様とお嬢様もお相手頂いて・・・もう 最高!

そうこうするうちに「食事に行きましょう!」とお誘い頂き さぁ矢野さんと2人で・・・
呑むぞ 松露!・・・と 思いきや 何と家族でお付き合い下さったのは、
「兄弟」でやってらっしゃる 「ログ」という焼肉店。

「兄弟」は確かに兄弟なのだが70歳前後の「兄弟」である・・・しかも焼肉?
松露25度の湯割りやビールで素敵なご家族と共に楽しいひと時を過ごし
さあ 楽しい1日もこれで終りか・・・と想っていると、

私のテント(実は、矢野さんにも設営を手伝って頂いた)の在る
「浜の別荘で一杯やりましょう」 と コンビニで買出しして いざ「別荘」へ・・・
別荘とは この海浜公園に有る‘やぐら’の事。

夜の海を見渡す「別荘」で‘あご’をつまみに 松露で乾杯!

ロードスターの幌を開けカーステレオを‘いい感じ’に設定してBGM に
こんなに 素敵な家族は そうそう無い・・・ほんまに!

一家の主の想いに何の躊躇いも無く 無垢な心でお付き合い頂いたお二人
その真ん中に居られる 笑顔のご主人。
胸いっぱいの 暖かさを いただいて「別荘」の夜は更け行く・・・
明け方には どうやら 一雨来そうな気配を感じ
「別荘」の下へテント移動・・・ も手伝っていただき感謝、感謝!

くれぐれも プライベートなお付き合いですから・・・

と 念を押されて お開きに・・・・
(最近焼酎ブームなので、蔵見学を される方が
このHP見てされて勘違いされては困るので・・・)

とにかく、ほんとに 忘れられない ゴキゲンな一日
松露の優しい味わいの訳に触れた 最高の一日でした。


10月6日(月) 万膳、佐藤〜霧島〜阿蘇へ


前日の ごきげんな一日の 余韻を 二日酔いという形でひきずり
いよいよ 今日が事実上 九州一人旅 最後のお楽しみ。

ずっと晴れ渡った九州地方も この日は初めての クローズ ドライビング
冷えた身体を 目覚めさせるのは ご存知 そう・・・温泉!
蓬の里 という温泉施設に訪れたものの 受付の方 不在につき
ごっつぁんです!・・・の ただ湯・・・(ごめんなさい!)

黒酢で有名な 福山を経て姶良(鹿児島)の山奥に有る万膳酒造へ。
以前 白菊屋さんのお世話で「黄金千貫」を送っていただいたお礼に
「ごろいか」を送った事の有るお蔵さんである。

前に この蔵を訪れた‘ジョー'に聞いてはいたが、「ほんまかいな?」
と思うほどすごい山道、いかも極細!ロードスターでもやばいと思う程の・・・
ようやくたどり着いた万膳酒造には、大阪よりの先客が有って
つくずく 焼酎ブームのすさまじさを実感。

「あの イカの人・・・すぐ解りました!」・・・俺は‘別所’か!?
想ったよりリラックスムードで迎えてくれた万膳さん。

4年前に建てられた山小屋の蔵は‘木'と‘土?'で造られた自然派
案内していただくうちに 焼酎造りに対する理想形をとことん形にされた事に感心する。


「おかげさま」と書かれた札と神棚をバックに万膳さんと

米、水、麹、芋、木桶蒸留器、古甕 etc・・・とにかくやりたい事を
全部やっている「幸せそうな」造り人の姿がそこに有った。

この日は もう一軒の蔵見学もあり仕込みの最盛期でお忙しそうなので
「万膳庵」の前掛けをお土産にいただいて早々に蔵の外へ・・・
そこへ 何と 2t トラックがあの極細道を突き抜けて蔵の前へ
これこそ正に「ほんまかいな!」・・・である。

万膳さんに見送られ 霧雨の山道を次の目的地 国分の佐藤へ
近いようで遠い微妙な距離を方向感覚には自信を持つ私のGPSは
全く作動せず ぐるぐると 迷いまくって ようやく到着。

想像とは全く違う 大きな工場的 建造物、
田舎の蔵には不似合いな ソアラ と BMW ・・・
ここで ええんやろか?・・・と躊躇いながら事務所へ
ご案内頂く 山口さんと歓談の後蔵へと案内してもらう。

(佐藤さんは、大阪よりの先客・・・ここでも・・・を接待中という事で)
今まで見た どの蔵よりも大きく鉄とステンレスで構成されたこの蔵に
少なからず 違和感を覚えながらも とにかくこの蔵の従業員の礼儀正しさに関心する。

合う人 合う人 全員 きっちりと立ち止まり きっちりと一礼して 挨拶!


佐藤さんの カリスマ性をいたるところで実感するのであった。
一通り 案内していただいて 山口さんも お仕事が有るのでインターバル。
私も お昼と温泉をチャージして約1時間半後 蔵に戻る。

そして 見せてもらったのが蒸して砕いた芋を 酒母と合わせる 櫂 入れ作業


中央 奥が佐藤さん  左のミルから砕かれた蒸し芋が投入される

とにかく しんどそう な 大変な作業です。

でも 何と言っても この蔵の特徴は 加水して出荷されるまでの酒に
毎日櫂入れし なじませる事に 神経が注がれている事。

出荷 1ヶ月前の酒と3ヶ月前の酒を利かせて頂いたが
熟成間の違い(クラスター密度の大〜小)にびっくり!
この蔵の生命線は この熟成に対するこだわりに有るのだ。

九州一人旅も大詰めを迎え とりあえず 別府に近い所まで戻っておかないと・・・
初日のトラブルの事もあり 心配なので鹿児島を後にする事に。

とは言うものの ここは 霧島温泉郷
ネーミングがどうしても気になる「ラムネ温泉」と
そして、山口さんに教えてもらった クラッシックが流れるという「祝橋温泉」に。

これから一気に霧島を突っ切り九州道へと向かうが、
霧島とは まさに この事!とばかりの 霧 また 霧!
モクモクと立ち昇る湯気と相まって怖いくらいの霧の世界に

心細さは深まるばかり・・・いつになったら この霧が晴れるのやら・・・?

不安一杯の淋しいドライブを続けていると ふと 眼に止る駐車中の車たち。
そして、忽然と姿を現した「白鳥温泉上湯」。

霧の中の露天風呂も おつなもの と さっそくチェックイン・・・しかし
またも 受付さんがいない・・・・
・・・せっかくなので またも 「ごおっつぁんです」!・・・今日3度目の ただ湯!

えっ!2回目ちゃうんか?って・・・・じつは祝橋温泉もなのです・・・ごめんなさい!

ほっこりと 不安もやわらぎ いよいよ九州道 えびのI Cへ
往路では避けた人吉〜八代間の 「トンネル地獄」 にウンザリするものの
何とか熊本に戻り お馬の焼肉 でお腹を満たし
もう一度 走りたい という衝動を抑えきれず「やまなみハイウエイ」のある阿蘇へと向かう。

これが間違えで 熊本で18度有った気温はなんと6度まで下がり
気が付けば 財布の中身も 4,000円少々
コンビニにもATM は無く ロードスターでは
リクライニングも出来ないので 野宿も出来ず・・・。

寒いよう!暗いよう!辛いよう!・・・彷徨う夜の阿蘇。

ふと 「阿蘇駅」の標識を眼にしてそちらに向かう
目の前には古びてさびれた 阿蘇国民宿舎・・・
「素泊まり いくらですかぁ?」・・・「4,500円です」・・・足りん・・・
私のガッカリ顔を察してか 「4,000円で限界です!」・・・
・・・よし!泊まれる!お風呂に入れる!ぬるかったけど・・・

財布の中身に 56円 残し またも暮れ行く
Amore 八木 の トホホな 九州一人旅。

 

     10月7日(火)  やまなみハイウエイ 再び& 黒川温泉
                         そして 別府&九州一人旅との 別れ

 

トホホな一夜も開け、 素泊まりの私には 朝食は用意される訳も無く・・・
でも やまなみハイウエイをたっぷりと楽しみたいので
6時過ぎと、早起きしたはいいものの 財布の中身は ご承知のとうり 56円のみ。

阿蘇神社の近くに銀行を見つけたが ATM が使えるのは9時前・・・
ひょっとして・・・と思い ローソンへ。

「カードで買い物出来ますか・・・小額でも・・?」の問いかけに O K サイン!
生まれて 初めて ローソンで しかも・・・420円でカード切ったゼ!
カップヌードル・塩とお結び弁当 ミニ を しみじみと頬張り終えるとようやく ATM へ。

さぁ 走るぞ!待ってろよ・・・やまなみちゃん!
前回の快晴のやまなみハイウエイで味わった 光溢れる風景とはちょっと違って
雨は上がったものの どんよりとした この日の阿蘇。

久しぶりの? オープンドライブ だが 奇妙な造形の植木群も ちょっぴり暗い表情。


やまなみハイウエイ沿いの土産物屋のラブリーな植木ちゃん達

それなれば 向かうは やっぱり お決まりの・・・お 風 呂 !
この旅の徒然に 温泉の話をすると 「黒川温泉 行かれました?」と色んな人から尋ねられ
そこまで言うのなら・・・と、やまなみハイウエイから ほど近い黒川温泉に行かぬ手は無い!
・・・と 訪れた黒川温泉郷。

「日本一の露天風呂めぐり・・・」 の看板と、首からぶら下げて廻る「入湯手形」が
この温泉郷に携わる方々の意気込みを伝える。

「穴湯」、「地蔵湯」、「新明館・洞窟風呂」・・・などを 次々に制覇し
辿りついた 極上温泉 「いこい旅館」の「美人湯」。

昨日の トホホも 浮世の憂さも この湯に浸かったとたん どこ吹く風の何とやら・・・
思えば 数えるのも しんどい程 たくさんの温泉に入ったが
硬すぎる 霧島のお湯や いくつかのお風呂に不満足はあったもののとにかく 楽しい温泉めぐり。

でも ここのお風呂を知らずにこの旅を終える事になっていたら
どんなに 不幸だった事だろう。


いこい旅館 美人湯の うたせ(これ以外に五基ある)

40年生きてきた中で 間違いなく N o 、1 である・・・と言い切れるほど
S M (スペシャル 満足)な・・・  極上のお風呂でした。

別府温泉を過去のものに追いやった この温泉郷の実力を存分に味わい黒川を後に。

そして、最後に やまなみハイウエイすぐそばに有る 三愛高原ホテルの「絶景湯」を訪れる頃には
天気もすっかり回復し シャンパンゴールドに輝くすすきの大海原
眺めながらの 入湯 (ここも ただ湯・・・手馴れたもの?・・・すんません!)

ギンギンに チャージした 温泉パワー! 気力充実で最後のひとっ走り。

秋の陽をうけて 輝く やまなみの景色の中に溶け込むように?
走る オイラと ロードスター!
湯布院 手前の絶景も復路から 味わえ また満足。

別府に戻ると また 温泉(結局 この日は 8回入湯)。
フェリーの時間までまだ たっぷりと 時間はあり せっかくなので「地獄めぐり」でも・・・
・・・と 「竜巻地獄」に到着。

「ちょうど 今 噴出しました!」・・・と教えていただき 400円を払って中へ
天然記念物の間欠泉を眺めながら 温泉が楽しめると 勘違いしていた私には
「えっ!これだけ?・・・で 400円?」 これでは 別府も寂れるわけや・・・と呟き外へと向かう。

「えっ もう出るの?」 と 受付のおばちゃんから不思議そうに尋ねられ
「一回見たら 充分、長いこと見てるほどの程のもんでもないし・・・温泉でも有るんやったら・・・」
・・・とこぼすと「そしたら、柴石温泉に行ったらヨカよ・・・歩いてすぐやし」

おばちゃんの 話というものは、真に受けないのが痛い目に合わない秘訣!
歩くより 車で行って 大正解!歩いて・・・やったら もうそろそろ無いとおかしい距離はとっくに過ぎ
結局2〜3キロ走ってようやく発見、そして 自分の学習能力にも サスガやん・・・と自画自賛
九州 最後の温泉となる 柴石温泉でこの旅の思い出に浸り
いよいよ別府とのお別れが近ずく。

初日にぶつけられた 事故の相手とヤマト運輸で待ち合わせ 私の荷物を発送
と 言うのも 代車のロードスターを返却し
帰りは私独り 車なし(最初のロードスターは陸送で神戸に・・・)で フェリーに乗り込む。

フェリーの部屋は 韓国の小学生の修学旅行ご一行様の向かい部屋で
その「騒々」しさと来たら「想像」を絶する すさまじさ!
インフォメーションのおねぇさんに部屋のチェンジを依頼し(追い金して)静かな部屋を用意してもらう。

それが 何と 二段ベッド×6の 12人部屋が 貸切!
ここまで静かじゃなくてもいいのだが 有難く 使わせていただく事に。
すっかり暗くなったデッキに出て別府の夜景をのぞみ、ちょっとセンチに・・・


九州一人旅のラストカット くぅー 泣いちまうぜ!

この旅の終わりは やっぱり お風呂で〆よう!とばかりに「 さんふらわあ あいぼりぃ」のお風呂へ
しかし そこにも 韓国キッズたちのパワフルなグチャグチャワールドが・・・
そこらじゅう散らかしまくって風呂から出ようとするキッズたちに
ここは 一発 日本の威厳ある父の姿を見せてやらないと!とばかりに

「こら!」と一喝!

言葉は通じずとも毅然たる姿勢で ハートを持って接すると伝わるもので
ちゃんと おかたずけを始めるキッズたち・・・
最後 お別れの時には「さよなら」と片言ながら あいさつをしてくれたキッズたちに
とても 良い気持ちをもらって 貸切のマイルーム?へ向かう。

この旅の中で立ち寄った 温泉のリストなどを整理して眠りにつく。
明日の朝 目覚めれば そこは大阪港

おやすみ 太陽と水と情けの国。
そして さようなら  大好きな 大好きな 私の九州!

10月8日(水) 大阪  水の都

静かな マイルーム?で ゆっくり休んで目覚めれば この旅の終着地 南港フェリーターミナル。
タクシーで自宅に戻り 大好きなこの部屋から 淀川を見渡す。
いい旅やったし いい思い出も出来た。
でも 水の都のシンボル 淀川の悠々とした眺めも捨てたもんじゃないなとにんまりとして

感動 と トホホ が 織りなした
Amore 八木 の 九州一人旅は 終わったのである。


今更ながら 遅筆&恥筆 極まりない この日記に
お付き合い頂き ありがとうございます。
感動の?長編(変)ロマン  Amore 八木 の 九州一人旅 の
「旅日記 旅情篇」は
これにて 完結でございます。