温泉津温泉に憬れて・・・Amore 八木の島根温泉一人旅・旅情篇

はるばる益田まで〜田吾作のイカは凄かった!
「温泉津の薬師湯(湯元)は、日本温泉協会の
天然温泉の審査で最高評価の認定書を受章。
全国に僅か12箇所しかない「オール5」の評価を受けた、
自然湧出の本物のかけ流し湯の温泉です!
オール5は中国・四国地方では薬師湯だけです。」
この文章を何かの機会で目にした時に、ビ゙ビッと体に走った温泉電気。
それ以来 何か機会があれば温泉津温泉に行きたいという想いが、
自分の中でどんどん増幅していくのを感じていた。
右肩や鞭打ちの治療の意味合いもこめて、
折角休んでいる間に行こうと意を決し色々と研究・・・
温泉津にも行きたいが奥飛騨温泉郷にも行きたい、
体に効く島根の湯も良いが
心に効く冬の絶景露天風呂 奥飛騨温泉郷も捨てがたい。
結局両方言ってしまえという事で、
スタッドレス&アルミ4本セットUSEDをYahooオークションで1,7万で落札し装着。
異音のするフロントドライブシャフト周り&ハブ・ベアリングも交換し、
安全面での体勢を万全のものにし発車オーライ!
・・・幌の右側ストッパー以外はバッチリOKだ。
ETC深夜割引を利用するため深夜2時過ぎ出発、
450キロの道のりを闇にまぎれて走る。
幌の固定が右側だけ不完全・・・と言うよりダメなので、
閉めていても容赦なく室内に流れ込む真冬の冷気。
すきま風と言うには、あまりにダイレクトだ。
米子道の大山を超え現地は−3〜4度の世界だが、
想いの外雪は少なくこの時点ではあまりスタッドレスの威力は発揮されない。
走り疲れて温泉津温泉にたどり着いたのは午前6時半、
まだあたりは暗闇から開放されていない。
温泉津温泉の元湯が闇に浮かび上がる姿を見せた時には、
いかにも霊泉といった佇まいに嬉しくなる。

愛して止まない温泉共同浴場らしい元湯の外観
さっそく入湯・・・ひなびた 飾り気の無い脱衣場から、
石の階段を1歩下りた途端目の前に広がる褐色の異次元。
思わずにやりとしてしまうが、
ベテラン常連客のおっちゃんたちのムードに少し圧倒される。
その中には平田から毎週走ってくると言う方も居り
(平田からは100キロはあるでしょう)
恐るべし温泉津温泉パワーを実感する。
しかしながら熱い!
鉄分と塩分をしっかり含んだ褐色の湯は「ぬるい」方で46度、
普通のほうで48度・・・これは手ごわい。
さすがに48度のほうは30秒ほどでギブアップ、
常連さんもじっくり入る方は居らず
少し入っては上がり浴槽べりでのんびりおしゃべりをしながら
時々汲み湯で体に湯をかぶる・・・
小さな空間に霊泉ならではの雰囲気が立ちこめ、
身体の為に心の為に湯の力を求め足しげく通う客の想いが
ゆったりと流れる湯治の湯である。

こちらはモダンな薬師湯・・・素敵!
元湯を出たらすぐ前にある薬師湯へ、
こちらはモダンな洋館で古い温泉街に一際目立つ佇まいだ。
受付のおばさんが温泉の説明〜2階・3階の説明〜
コーヒーをサービスで飲める説明〜石見銀山をのぞむ景色の説明・・・
優しく丁寧にいろいろ教えてくださるのだが、
中々お風呂に向えない。
序文の説明は、ここのHPに堂々と書かれたものだが
どうやら元湯と薬師湯はライバル関係のようで鄙びた田舎の温泉にも拘らず
立派なHPを持ちお互いに対する意識の強さはすさまじい。
薬師湯を出て元湯の駐車場に停めた車に戻ると、
「下のお風呂に行きなさったん?車はそっちの駐車場に停めてください」
・・・?マジで〜ここにも入ったし、わずか10mやん。
元湯のおばちゃんとも仲良くしないといけないので、
何とか話題をすり替え話していると ついついポロリと
「下の湯はぬるいでしょ」
出た〜ライバル!
正直 薬師湯の温度のほうがピッタリ良いと思うが、
「そやなぁ・・・ でも人好き好きやし 」
「そら、そやなぁ」 ・・・少し引いた元湯のおばちゃん。
しかし濃厚な源泉2連発、−3度の気温は何処かに忘れるほど温まり
今日の予定を考える。
天気は最高なのでオープンドライブを楽しまないのも何だが、
逆に言えば天気が悪くなれば海がしけて
良い食材が上がらないので上手い魚を食べるなら今日!
と言う事で大田市駅前に車を置いて汽車で益田(もうすぐ山口県)を目指す、
今回の旅の目的の一つに 雑誌PEN1月号で掲載されていた居酒屋「田吾作」に行くためだ。
冬の山陰本線のイメージは、どこまでも暗く
寂しい色合いしか思い浮かべることは出来ないが、
この日は快晴!どこまでも晴れ渡り、どこまでも穏やかだ。

車窓から・・・手前の木々の色合いを見なければ、まるで夏空?(浜田エリア)
12時開店の田吾作さんに12時過ぎに到着、
なのに下足場には靴がいっぱい・・・えらい繁盛やん
& 誰も出迎えに来ない上どこへ進めば???
不安を抱きながら重厚な木の階段を下りると飾り気の無いカウンター。
晴れて気持ちイイが気温は−2度、
足元は板ばり・・・温泉パワーも2時間が限界で、足の冷えはとうとう・・・
だがカウンター下にはこたつのヒーター部分が雑然と置かれ、
どうやらこれで暖をとれと言うことらしい。
「大阪からPENを見てやって来ました」と告げると、
「それはそれは・・・はるばると、ありがとうございます」と女主人の岩崎さん。
飾り気の無い実直でやさしい女将さんで、
昼の開店から夜までずっと田吾作を切り盛りするエネルギッシュな方だ。



左は昨日のお豆腐、真ん中は突き出しのおから、右は今出来たばかりの豆腐
まずは燗酒を注文し、あては手作り豆腐。
しかし豆腐が冷たくて大きい・・・寒さに震えそうなボクちゃん ちょいヤバイ。
それを察してかは?だが岩崎さん、出来立ての温いのを出してくれた。
・・・これは美味い!凝縮した豆の風味がすがすがしく香り立ち幸せだ。
そして待望のイカ刺し身の登場。
どうやらオイラは大変ラッキーだったようで、
「ここ1週間は海がしけて、良いのが全然入らなかったんです。
今日は久しぶりに良いヤリイカが上がったので一番良い状態です。」
・・・ふふふ、どうよ! これがそのヤリイカ刺し身だ!

クリスタルに輝くヤリイカ・・・食べれば食べるほど旨みが増す不思議
エンペラやげその上側の軟骨が美味い!・・・そんな感覚は初めて。
ドカンと大盛りで一品が出てくるのは大の苦手だが、
新鮮極まりないヤリイカは朝まで日本海で泳ぎ
たった今 田吾作の流水生簀から上げられたばかり・・・一人で一杯軽く平らげた。


左はイカちゃんが元気に泳ぐ流水生簀、右は多彩な地魚が泳ぐ数々の生簀
肴も美味いが味噌汁も美味い、
いりこで出汁をとった田舎風の味噌汁は小芋となめたけの素朴なもの。
定食に出されていたものをお願いして頂戴した。



素朴なカウンターの中では出来たての豆腐、そして実直な岩崎さん。
美味い肴に杯は進み燗酒は4本目へ、
岩崎さんとも話しは盛り上がり次なるおすすめ魚‘さわら’へ。
たたきを進められたがサワラ愛の強い私は「皮だけあぶって」のリクエスト。
皮を引いた刺し身に皮炙りの刺し身などを盛り合わせていただき鰆の登場。

薄紅色を帯びた新鮮な鰆・・・とろける美味さです。
活けならではの弾ける食感と、脂の乗ったこの時期ならではの寒鰆たる甘みうま味!
生でもよし焼いてもよし、鍋でもよし・・・鰆ってほんとに美味い魚です。
さらに嬉しいのが 刺し身に引いた鰆の皮を炙って肴にと・・・
飛騨コンロに炭をいこして出していただいた〜これには感激!解ってらっしゃる〜



炭で炙る鰆の皮・・・それを塩でいただきながら また一杯!
そうこうするうちに今度は菜の花の天麩羅が・・・
「さっきのイカのあしらいです」と、岩崎さんが
そう クリスタルの横で黄緑に咲いていた菜の花が肴に変身して登場だ。


次には 下げられた飛騨コンロで下仁田葱を焼いて登場。
折角なので最後は味噌汁に是非入れて出して欲しいとおねだりした餅、
飛騨コンロでじっくり焼かれて仕上げのご馳走だ。

田舎汁に焼いた水餅・下仁田葱・・・至福のお雑煮完成!
昼間から至福のひと時をゆったりと過ごし席を立つ、
最後に玄関先で岩崎さんや「かかし」の作者のおばさんと記念撮影。


うららかな田舎の昼下がり、素朴で飾らない直球1本勝負の店の看板娘たちと
田吾作を出たら益田駅前繁華街のなかで営業する益田唯一の銭湯へ。
地下水だろうか湯の美しさは格別で、
常連客の近所の温泉施設よりもこっちのほうが断然良い・・・納得の湯質である。



可愛らしい看板、内部は質素ながら美しき湯が溢れる素敵空間だ。
帰りの汽車では爆睡モード、あやうく大田市を寝過ごしそうになった。
これも幸せなひと時の賜物か?
しかしながら 幸せモードはここまでで、
以降 トホホモードが連続する寂しい旅となる事をこのオヤジはまだ知らない。
この日の宿は楽天トラベルで見つけた激安旅館、
地元の人でさえその存在を知らないひっそりとした宿である。
何度か経験したことがあるが、宿を訪れた時に
玄関はおろか灯りらしい明かりが点いてない。
予約が取れているのかどうかも???恐怖の旅館の典型的出迎えだ。
通された部屋は冬の島根のじっとりとした冷たさが充満し、
コタツも暖房も暖まるのには時間がかかる。
「朝食は何時からですか?」と尋ねると、
「何時でも結構ですよ」との返答・・・ならば「7時にお願いします」と告げた。
地元の人も知らないが ここは温泉旅館、
設備はしょぼいが三瓶山周辺の温泉らしく褐色の湯があるはずだ。
「お風呂使えます・・・」と知らせていただいたので、
ミシミシときしむボロ廊下を歩き風呂に行く。
想像してたよりもぼろくは無いが、しょぼいのには変わりない。


ビニールの蓋を自分で開けて入る〜鉄分豊富な褐色の湯が・・・
でも この湯 いつの湯やろ?そう 湯に元気が無いのである。
折角の温泉がおそらくため湯の沸かしなおしのようだ。
まぁ それでも少しは温まったので街に出て美味そうな店を探すが、
ヒットする店が無い。
田吾作でタップリ食べていたことも有るので、お腹もすかない。
でも食べないわけにも行かず仕方なく出雲そばの店に入る。
階段を上がり店に入ろうとしたが、客席は見えず
おばちゃん達がだべるホールしか見えない・・・やばそうなので止めとこうと階段を折り始めると
後ろから声が・・・「どうぞ、やってますよ」・・・あぁ・・・仕方ない。
鴨なんばそばを注文し広い座敷に一人ポツンと待つ、
「大盛りになってしまったわ〜」とサービス満店をアピールしてくれるが
もともともっさりとした出雲そば、さらに大盛りでつゆが少なくなっている。
ボクちゃん無理です・・・美味くもないし・・・
結局半分ほど残して退散・・・しかし鴨なんばそばに付いてきた漬物〜いったい何なんだろう?
旅館に戻り映りの悪いTVを見て過ごすが、
さすがに静かで物悲しい冬の山陰のうらびれ宿。
今夜はとっとと寝る事に・・・それしかないもん。
1月29日(木) 三瓶山周辺の温泉群〜有福温泉〜温泉津温泉街
次第にトホホ感がアップしていった前日の余韻覚めやらぬ朝、
予定通り6時半に起床し7時に食堂だろう辺りに向かうが
旅館内は真っ暗で物音一つしない。
あぁ〜 やられた・・・と、途方に暮れていると
食堂横の部屋の中から「ゴホゴホ」と老女の咳き込む声。
すると主人のじいさんが起きてきて「朝ごはん7時に頼んでたのに寝てるみたい」と告げると、
ばあさんを起こしにかかり「はようお茶入れんかい」。
お茶やなくって朝ごはんなんやけど・・・
もうええわと諦めモードで出発の準備を整え清算、
部屋へ戻ると前夜と同じお茶とお茶菓子がコタツの上に・・・ご飯が欲しいけど・・・。

別にお茶菓子なんか朝1から要らんねんけど・・・
荷物を車に積み込もうとすると見事に氷ついた窓ガラス、
こりゃあかんと炊事場にお湯をもらいに行くと
なんと婆さん、朝ごはん食べてまっせ!
朝からいきなり言葉を失うトホホ事件、もぉええ、早く温泉に行こう!と出発。
石見銀山経由(周辺を見ただけ)で池田ラジウム鉱泉に向かったが、
何と無休のはずなのに「本日休業」の札が掛けられた玄関・・・
うわぁ やられた!
朝から連発でトホホ攻撃かいな。
深く沈んだ気をとりなおして次に向かったのが小屋原温泉、
4つの内湯をそれぞれ貸切りで楽しめる一軒家の温泉旅館だ。
ようやく雪深い山の中を走りスタッドレスの威力を実感した冬の山陰、
あとは温泉パワーを得てオープンドライブへ移行するのが楽しみだ。

この後 道は凍りだすのである。
小屋原温泉は営業中・・・とはいえ客はオイラ一人、
4つのお風呂も選び放題・・・でも一番奥は封鎖され使えなかったが
フィーリングで手前から2番目のお風呂をセレクト、
しばし貸切の極楽タイムを満喫する。



湯の花どばどばの褐色湯、集積物のアートも素晴らしいコンパクトな極楽


窓の外は雪景色、渓流の脇に立つひっそりとした一軒宿だ。
連発のトホホ攻撃から一変、この世の極楽を堪能し温浴チャージ完了。
さぁ 待望の雪山オープンドライブだ!
三瓶山を登り高原地帯に差掛かると風景が開け「来た〜っ」ってな感じの気持ちよさ。
思わず車を停め記念撮影。
通り過ぎる車からは「寒いのに何やっとんねん?」な視線を感じながら
気にせずパチリ・・・もう馴れてます。


三瓶山高原地帯、久しぶりに感じる冬の高原・・・気持ちイイです。
三瓶温泉は色々と外来入浴できるところが多いが、
まずは国民宿舎のさんべ荘のお風呂へ。
期待してなかった分、その充実設備に嬉しい誤算・・・良かった。
ここでお昼を迎えようやくご飯にありつけそうだ、
さんべ荘のフロントで聞いた‘きっ川’に入り名物ジンギスカンを食す。
何でジンギスカンなのかオイラにも解らんが、
今一そうな食堂メニューよりも味的に安心感があったからか?

冬の三瓶山から眺める風景・・・静かです。
お昼時なのに広い店内を貸切でいただくジンギスカンと生ビーちゃん。
しかしジンギスカンのタレが塩辛い、
あまりに辛いのでビーちゃんで薄めていただくジンギスカン・・・微妙だぜ。
本当は12時オープンのはずの共同湯‘薬師湯’は、
4時からの営業に時間変更・・・楽しみだったが入れないので仕方ない。
ぶらりと立ち寄った三瓶温泉病院、整形外科の診療科目があったので
ひょっとしたら肩や首の温泉療法をしてくれるかも・・・と入ったが無言・・・
どうやらこの日はお休みのようで、出迎えてくれたのは高齢の猫たちだけだった。



出迎えの猫たち、地面が茶色いのは雪溶かしの為に流れる温泉の成分
えさ入れが空だったのでリュックの中にあったするめをプレゼント、
猫にするめはご法度と言う方が居られるが
自分が飼っていたゴン(シャム×とら)はイカ薫が大好物だったので問題ないだろう。
次は期待の共同湯‘亀の湯’、掛け流しの温泉成分が素晴らしいと評判の湯だが
訪れたところ工事中のよう。
向かいの酒屋さんで入浴券を購入するようだが、
尋ねてみると「冬はぬるいから入れんよ、しかも工事中やし」。
だがこんな事で簡単に諦めるオイラじゃない、
見せてもらったところコンコンと湯気を湛えた温泉が流れ込む楕円の湯船。
これを見て黙って帰るわけがないやん。
・・・で入湯、湯温約35度。
入ってみれば中々快適、夏場などはさぞ気持ち良かろう温泉だが
外はマイナス温度の冬の三瓶、楽しいのだが温まらない。
でも楽しい、しかも貸切り(当たり前)テンションで凌いだぬる湯だ。



地元の皆様に愛される共同湯の良き姿が、ここ亀の湯には有るのでございます。
ひとたび湯から出ると一気に鳥肌、急いで拭き取り服を着る。
テンションが上がったままなので次なる目的地‘千原温泉’に向けて亀の湯前の道を進むと、
いきなり道がドカ雪で消える・・・うわぁ!
仕方なく引き返しナビさえ判らぬ山奥の温泉まで小1時間迷いながら走る、
でもさすがに寒くなってきたので屋根を閉め
完全な雪道を進みようやく到着。
すると1台の車と女性が一人、先客と思いきや
「温泉ですか?」・・・「はい、お風呂に来ました」・・・すると
いとも簡単にするっと
「木曜日はお休みなんです」
・・・嘘やろ!?無休のはずやん
群馬の法師温泉で味わった絶望的がっかり感、
深山幽谷を分け入り到達した湯に入れないのだ。
しかも「どちらからですか?」・・・「大阪から来ました」・・・
普通なら「それはそれは遠いところ、じゃぁ どうぞ」ってな具合に話が進むはずが、
「そうですか〜、冬は雪崩とかがあったりするんで・・・」
以上、終了、あっさりです、超がっかりです。
またまたトホホムード最高潮に達し体調も下降モード、
再び温浴チャージをするために潮温泉へ。
山の中なのに何故か潮温泉はどうってこと無い循環湯、
さすがにレベルの高い温泉に入り続けてきたので
少し温まったらおさらばだ。

次なる目的地 湯抱温泉へ向かったが
この湯抱温泉 何件かの温泉宿がならぶこじんまりした温泉街だが、
どこもひっそり静まり返りフロントにも人気がない。
これはダメだと
湯抱はスルーして長駆 有福温泉へ向かう。
江の川をひたすら下る261号線は長い長い道のり、
田舎特有のちんたら車も多く予想以上にストレスのかかるドライブ。
ぬる湯〜オープン〜がっかり・・・から来る体調ダウンも益々勢いを増し、
江津に着いた頃にはすっかり風邪ひき発熱状態。
屋根を閉めて暖房をかけていても寒気がしてくる、
しかしここで諦めたら翌日温泉津から西へ向けて走る勇気が出ないのは眼に見えている。
ここは根性、評判の温泉 有福の素晴らしさだけの希望を胸に、
2時間かけて到着した有福温泉。
山里の温泉地らしい風情が素敵な温泉街、
あちらこちらに立ち昇る湯気がさらに風情を盛り上げる。


坂道に湯気が立ち昇る温泉風情の街、上品な善太郎餅とお抹茶
体調が堕ちれば何故か甘いものが欲しくなる、普段は食べないのに・・・
先ず入ったのが善太郎餅本店。
1箱買っても食べきらないので、店内で抹茶をいただきながら食す。
上品なサイズのまんじゅうは、甘さも上品。
お店の女将さんも上品できれいな方だった。
そして共同湯‘やよい湯’へ、この旅初めて出会う白湯に癒されるが
次に入ってきた地元客のマナーの悪さにげんなりし すぐに出た。
本命の御前湯は想像以上の素敵温泉、美しき洋館とサービス精神
さらには滑らかで美しい湯は格別で、
温泉津温泉の薬師湯と並び評するべき名浴場だ。



2階の休憩室は自由に使えお茶も飲める、滑らかなさら湯は癒しの湯、モダンな洋館は眼を引く
すっかり温まり2階でしばし休憩、疲れも少しは取れたので行こうか。
でもさすがに もう一つある‘さつき湯’に入る元気は無かった・・・自分的には珍事だ。
有福を出ると日は落ちはじめ寂しげな田舎道を走る、
するとラジオから聞こえてくる聞きなれた声・・・FM cocolo 金曜日のお昼
ナチュラルフライデーPart2のやぐっちゃんだ。
マダムキラーバリバリの渋い声なのだが、
パフュームが来るとデレデレになるオヤジが・・・なんと江津で・・・。
でもちょっと嬉しかった、弱ってるときは馴染みの声を聞くだけで少し元気になれる。
温泉津に着けばもう完全に夜だ、今夜の宿‘あさぎ屋’へ急ぐ。
ネットで見つけたこの宿、ホームページには
「素泊まり4200円、朝食サービス」とある。
この格安料金なのに通された部屋は3階の角部屋で、
2面から温泉津港を見渡せる最高の部屋。
しかも立て替えられてピカピカ、ふとんもふわふわ羽根布団、
しかもシーツは真っ白に輝いている。
昨日の城山温泉旅館とは月とすっぽん・・・そうそう、部屋も温められていた・・・素晴らしい。



右の窓からは浜側が、左の窓からは港が一望の温かでキレイなお部屋
割烹スタートらしく1階には食事処があり、まずはここで一杯。
女将さんと話しながら地元で揚ったマグロで、
地元の名酒蔵‘開春’の亀五郎を楽しむ・・・つもりが体調不良で楽しめない。

せっかくの地元産生マグロも・・・
ならば共同湯の小浜の湯でひとっ風呂、
こちらも地元愛あふれる温泉浴場で 挨拶や笑顔が飛び交う素敵空間。
身も心も温まる良いお風呂だった。
温浴チャージで体調アップ・・・したつもりで、カフェ路庵へ、
地元の魚を味わえると調査済みだったのでお邪魔した。
風呂上りで喉が渇いたのでハイボール、
そして地元魚の刺し身盛り合わせを。
ただし食欲も無いので「食べてきたので、珍しいのを出来るだけ少しで」とリクエスト。

少しずつ・・・ほんとにチョッとだけのはずが、しっかり・・・
このパターン 田舎で通用しないのは何度も経験済みだが、
体調不良のときは尚更キツイ!
レンコダイ・トラギス・クロムツ・オキサワラ、
全て美味いのだが(特にトラギス)体調不良時の刺し身タップリは拷問だ。
古い旧家を改築した店内はエコ意識で暖房控えめ、
「寒い方はひざ掛け用毛布をお使いください」・・・
風邪ひきのオイラ、ジャンパーを着ても寒気は止まらない。
何とか刺し身を平らげおあいそし、あさぎ屋に戻ると
すうどんにおろし生姜たっぷりの特別オーダーをし暖を取る。
ジキニン飲んですぐおやすみ、辛い旅行2日目が幕を下ろす夜9時前だった。
1月30日(金) 出雲・松江は終始トホホ雨
ジキニン飲んで寝汗かいてちょっとスッキリの朝、
前夜に「たいしたもん出してないですから・・・」と女将さんが言っていた朝食をいただく。

意外と豪華な朝食・・・4200円の宿代にサービスで付いているなんて!
お櫃に入った炊き立てご飯と味噌汁、
さらに6品も付く立派な朝食がサービス。
普段ならビールを注文するところだがさすがに今日は無理。
食べ始めては見たものの熱による食欲不振は健在、
仕方なく半分以上残し申し訳ない。
女将さんに「ごめんね残して・・・、ちょっと1時間ほど寝に上がります」と告げ
部屋に戻りまたケロリン
これが結構効いて大量の寝汗をかいて寝巻きはびっしょり、
着替えたら体が軽くなった。
チェックアウトしたら温泉津温泉元湯にアタック、
熱くて濃い温泉は弱った身体にビシッと浸みる。
もう1件の薬師湯に入る体力は情けないが残っていない、
あこがれの温泉津とはこれでお別れだ。
焼き物の里を少々散策し松江方面を目指す。
雨の国道9号は車も多くスピード上がらず、
熱でぼ〜っとした頭では寝てしまいそうなのんびり走行。
チャンスを狙って追い越しを掛けるが、
抜いても抜いても前には襲い車、また車・・・あぁイライラ。
出雲に着いた頃には温泉パワーは完全消失、
追加チャージをするためにJR出雲市駅前の温泉施設‘らんぷの湯’へ入る。
三瓶周辺の温泉同様の褐色鉄分系の温泉と、
ランプがぼんやり照らす内湯、竹やぶを眺めながら入る露天がグッドデザイン。



駅前とは信じがたい素敵空間・・・是非 全国に広まって欲しいものだ。
温まったら松江へ向けて走る、
目的地は亡き母の実家・・・現在は弟さんが居られるはずなのだが
電話しても繋がらない(現在使われていません)・・・
もしやという重いも有り思い切って行ってみよう!
というのも今回の旅の目的の一つなのだ。
心配した家が無くなってるシーンまでは無かったが留守のようで?
実家前は道路拡張工事中で雰囲気的にはヤバイ。
お隣のお家も留守で近況を知ることが出来ない。
寒いところをウロウロするうちに身体は冷えて熱が出てくる、
朝をしっかり食べられなかった分エネルギー切れのようだ。
温かいものを食べようと入ったうどん屋さん、
カレーうどんを注文するも出された品は湯気がナイ・・・
うどんは湯がきたてで熱いが、スープがぬるい、
その上 具財のお肉(缶詰めカレー)の中は完全に冷たい。
身も心も冷え冷えとほとんど残して店を後に・・・あぁ・・・
叔父ちゃんの現況を調べようと松江市役所を訪れたが、
クソ法律「個人情報保護法」の壁と使えん役所人間に阻まれ
叔父ちゃんが元気で健在かどうかさえ知ることが出来ない。
結局 住宅地図から番地を調べ 試しにかけた104で番号を聞く、
なんや あるやん 番号変えただけみたい・・・で一安心。
役所のヤツは何の役にも立たず・・・「役」所じゃないで、ほんま!
この日の宿は松江シティーホテル別館、
全室掛け流しの源泉が部屋のバスタブに流れるという凄みあるホテルだ。
予定より1時間半も早く到着したが快くチェックインを受け付けてくれたので、
早速部屋へ入りお寝んね・・・もう、フラフラですので。
1時間半ほど眠ったら少しすっきり、
折角来た美しき街松江・・・そうや、雨やし前から行きたかった島根県立美術館に行こう。
お城と河と湖が見事に溶け合う松江の景観に、
さらなる輝きを加える美しいデザインは外から見ているだけでも良いが、
一度訪れてみたかった場所だった。


美術館のテラスから臨む宍道湖、左は出雲方面・右は松江市街
一人でゆっくり美術館の展示品を見て廻るのは良いのだが、
やっぱり一人っきりは寂しいし、平日の静かな館内は緊張する。
歩き疲れも有りまたまた熱っぽくなって来た、
体調の悪いときはかくも旅を面白くなくさせるのか・・・あぁ、、、
美術館を出たら雨空もその色を深め1日の終わりが近い事を教える、
普段ならここからがAmore 八木の時間なのだが
旅先での闘病生活、夕暮れ時はエネルギー切れの時間・・・
もう、風呂入って寝るか・・・と温泉博士を利用して松江アーバンホテル別館の大浴場へ。

松江アーバンホテル別館の大浴場から見た美術館方面
2003年には子供たちとの旅行で泊まったホテル(もちろんこのお風呂も)で、
なかなか懐かしいホッコリとした想いになったが
これがこの旅の最後のホッコリ・・・この後はもう・・・トホホオンリーですわ。
本来なら地元の居酒屋などで活きの良い地元ネタや、
地元ならではのアテを楽しみながら一杯やり
お店の方やお客さんなどと盛り上がるのが自分のスタイルなのだが
さすがに今夜はアドレナリンが出ない。
でも折角の旅しかも最後の夜なのでリサーチしていたお店に行こうと
ホテルを出て先ずはATMを探すが無い・・・観光地松江の中心なのに・・・
雨の中 濡れながらたどり着いたリサーチしていたお店で、
「カード使えますか?」と尋ねるとNG。
「堀を渡ったところに、ごうぎんが有ります・・・確か7時まで・・・」と聞いたが、
今まで幾度と無くこの手の情報にやられた経験を持つ僕ちゃん、
行って見ますと言ったものの内心ダメ確立が高く信用できない。
とりあえずいったんホテルに戻ってフロントで聞いたほうが確かだ・・・と、
ホテルに戻り尋ねると「橋を渡って左側に、ごうぎんが・・・」
・・・そうですか・・・
で、また雨の中震えながら向かった‘ごうぎん’の場所、
確かに大看板には電気が灯っているが肝心のATMコーナーらしきものが・・・
真っ暗なのである、オイラのハートも真っ暗である。
やられた、またこのパターン。
財布の中には1000円ちょっと、
深夜出発の帰り道ではETC&ガソリンタップリなので現金要らないが
松江の夜の街では現金無しは何も出来ない。
もぉ ええ、コンビニでアテでも買って、部屋に帰ってビールでも飲もう。
とホテル横のコンビニでビール&豚足のアテを購入。
なんとコンビニで豚足とは、ええ感じやん・・・と部屋へ。
しかしこの豚足が不味い、塩味のはずが脂べたべたで味どころでは無い。
アテがなくてはビールも進まないので2Fの自販機コーナーへ行くも、
アテは販売していないので仕方なくカップラーメンを・・・が、
これまたトホホ、機械が動いていない。

一応これでも源泉掛け流しのホテル風呂
もう仕方ない、最後までトホホな島根の旅は、
「風呂入り ジキニン飲んで ふて寝する」
・・・お粗末。
1月31日(土) 松江帰りは粘着テープが活躍
実はこのホテルの気の利いたところは、朝ごはん
食べない人も居るだろうしレストランを稼動させるとコストも掛かる。
安くて良いサービスを追及したのであろう「おべんとう」が付いているのである・・・
が、オイラには付いてこない
ETC割引の効く深夜ドライブのため3時前出発のため残念ながら。
昨夜に続いておきても雨、
ホテルでもらった駐車券をパーキングの機械に入れたらタダのはずが
料金あと400円不足の表示。
今さらホテルに戻って・・・しかもこの時間に・・・
またもトホホな気持ちで大阪へ向けてスタートする。
だがセリカ コンバーチブルの幌を止める金具の右側がバカになってしまい、
このまま高速道を走るのは かなり拙い。
高速道の入り口手前で外側と内側の両方から幌を粘着テープで固定。
しばらく感じた事の無いクローズ時の静けさ&すきま風の無さ、
まるで普通の乗用車のように快適な雨のドライブが実現した。
大阪に着いたのは朝6時過ぎ、自宅のありがたさを痛感してから一寝入り。
起きたらすぐにお医者さん&整骨院、
もどればまた眠りに就く。
明日夜明け前から始まる奥飛騨温泉郷への旅へ向けて体調を戻すために。
神の国 出雲のふところに出でる霊泉温泉津温泉、
憬れてあこがれて出向いたが結局闘病生活する事になった
Amore 八木の島根温泉トホホ旅〜いやいや一人旅。
これにて 完。
温泉篇&奥飛騨温泉篇は明日?