2007年 1月22日〜26日の日記

瑠璃色に輝く大地のめぐみ草津温泉など
Amore 八木の群馬一人旅・旅情篇


草津温泉・湯畑に流れる
、美しき瑠璃色のお湯。
 

昨年 秋、念願かない‘九州ふやけ旅’と称し
子供たちとの九州旅行を達成した。

しかし、温泉の達人が選ぶ‘日本の名湯10選’に
数湯も選出される、恐るべき温泉王国・群馬に対する憧れが
メラメラと燃え上がってくるのを覚え、
Link Bar を上がり、月末までの‘暇’をGETした以上
私を止めることは‘金欠’という壁さえも無意味となった。

先ずはROSOLIO時代、店で働いていた‘トビィ’(現在 群馬在住)に連絡を取り
群馬旅行の名目として再会を誓うことに・・・。

そして素敵なお客様である‘K越’さんに連絡を・・・。
氏は東京・大阪に会社を持ち、群馬に棚田を所有するという
ユニークな人物でもある。

半ば強引に群馬旅行に誘い込み、
棚田見学やリンゴ園訪問など、面白い体験をプランニングして頂いた。

1月22日(月) 大阪発・東京〜群馬 月夜野へ

レール&レンタカーのチケットをカードで購入(辛い)し、
この日は先ず東京でK越氏と落ち合い
氏の車で群馬へ向かうことに。

ちょうど昼ごはん時を狙い東京入りした私を、
「オンリー ワン」な日本橋のカレー屋さんに案内して頂き、
写真が無いのが残念だが、なんともオンリーワンなカレーライスを頂いた。

メニューはカレーライスのみで、着席から数秒後には
頼みもしないカレーライスが運ばれる・・・恐るべし東京?

お世辞にも美しいとは言えない見栄えだが、
なんとも不思議なオーラが、このカレーライスから放たれている。

味のほうは鮮烈でスパイシー!若々とした
粒粒のマスタードシードがリードギターを奏でる
スパイスのロックバンドがマーシャルのアンプを介して自我を主張する。

旨みよりも塩味が勝っているように感じるのは、初めの2口だけで
その後は段々とスパイス達の魔力に口が洗脳されていく。

「・・・こんな筈では・・・」と思った頃には、もう このカレーライスの
虜になってしまっている様だ。
もう一度、このカレーを食べたくなる、不思議な怖いもの見たさ感に支配され
再びこの店の扉を開けてしまいそうな気がする。

おなかも膨れたら向かうは群馬、上毛高原駅近くの月夜野だ。

ここには、例のK越棚田があるので
先ず棚田を拝見させて頂くことに・・・。


棚田の前で記念撮影、中央がK越氏、右はS木部長。

最新のパジェロで群馬入りし、雪なんてウェルカムよ・・・
などと舐めていたらえらい事になるのが‘雪’の恐ろしさで、
意気揚々とバーベキューを行う所に向かうと、たっぷりの雪が待ち受ける。

楽勝ムードで突入するが、次の瞬間???
やってしまいました!パジェロスタック。


雪と泥にドップリつかったスタック跡・・・

あの手この手をつくし、ようやく脱出し
「どうも、お騒がせしました・・・」とK越氏。

雪の中で悪戦苦闘した後は、待望の温泉だ。

群馬四大温泉地の一つに数えられる‘水上・みなかみ’は
さらりとした優しいお湯を湛える温泉が広範囲に広がる。

この旅 最初の温泉は、K越氏がリサーチしていた‘きむら苑’の露天風呂。
渓流沿いにある混浴で、入り口&脱衣場だけが別になっているが
中に入ると皆いっしょ・・・中々風情ある温泉だ。


女ゆの暖簾をバックに、温泉カット第1号!

真冬に入るには ぬる過ぎる温泉で、なかなか温まらない・・・。
たっぷり時間をかけて入浴したが、
温まりそうにも、女性客が来そうな気配も無いので、上がることに。

群馬泉ファンの私は、氏達に飲んでもらおうと酒屋を案内してもらうが
地域的に大分違うところなせいか、どの酒屋にも置いていない。
ほんとに地元な酒と灘・新潟の大手蔵の酒ばかりなのが残念だ。

今夜の宿はK越氏の定宿で、みなかみ町・月夜野にある
‘摘み草料理’が自慢の 真沢の森だ。

お世辞にもセンスが良いとは言えないホームページはご愛嬌。
事前の情報から想像していた以上に、料理もお湯も宜しかったのだ!


星空の輝きと雪のきらめき&湯気・・・良いです・ホント。

日帰り入浴も受け付ける一軒宿だけあって、お湯のほうも結構なもので、
はっきりと ヌルッと感ある、いわゆる‘美人の湯’系の温泉だ。

桑の葉ややぶがらし・・・など、初体験の野草料理が楽しかった
食事の後にも入浴し、その後S木部長の部屋に集合し宴会の始まり。

K越氏持込のGORDONSジンが空になり、
その分翌日の私の頭が重くなったのは、言うまでも無い。

1月23日(火) 水上発〜四万(しま)温泉へ

しかし、朝一番の温泉は、また格別。

雪の棚田の朝焼けは、特別な美しさだった・・・気持ちいい!


雪深い温泉地には、やはり‘雪景色’が宜しいかと・・・。


朝食後 宿を出て、この日最初に向かったのは
‘ぐんま名月’が美味しい‘まるひろ農園’だ。


雪の残るリンゴ園、右の針金みたいなのは立派な除虫器具なのだ。

昨夜の女将さんに続いて、まるひろ農園の高橋さんも
熱きマシンガントークの使い手で、
こと りんごの事となったら、じょう舌極まりない。

事のついでに‘木村さんのりんごのスープ’の話をしたところ、
近所のスープの店に早速電話し、りんごのスープをリクエスト・・・
役所の岸さんも一緒に5人で、りんごスープを食しにむかう。


ほっこり優しい気持ちに成る、りんごのスープ。

蕪のポタージュに爽やかさをプラスしたような、
りんごのスープは、心地よい酸味が爽やかで・・いただき!BARにぴったりのアイテムです。


りんごの話で盛り上がる皆さん&始めて見ました!まるごとアップルパイ。

りんご会談を終えると皆様と別れ、湯テルメ谷川に向かう。
前日の真沢の森で頂いた招待券で入浴・・・ありがたや。

雪の渓谷にある露天風呂は気分爽快。
その気になれば‘はなれ’な秘湯に浸かることも出来、楽しい温泉だ。
桜の咲く季節にまた訪れたいと思った。

昼ごはんは上毛高原駅近くの蕎麦屋さん。
何故かカナダ産の‘蕎麦ビール’で乾杯し、もり蕎麦大を平らげた。

昼2時から予約していたレンタカーのマーチを受け取り、
K越氏&S木部長とお別れだ。

本当に楽しい旅のお供をいただき、感謝いたします!
有難う御座いました。

さぁ これからが、Amore 八木 の群馬一人旅の本番。

レンタカーのマーチで、まず向かうは猿ヶ京温泉温泉。
早速 トロいカーナビの案内に振り回され、分岐点を過ぎてしまい
いらいらさせられるが、こんな事でめげている訳には行かない。
温泉王国・群馬の温泉たちを、たっぷり慈しむに行動有るのみ・・・である。

ネットで確認した‘猿ヶ京温泉センター’に向かったが、
上毛高原のレンタカーのおっちゃんが勝手に入力した‘まんてん星の湯’に到着。

こんな施設に、こんな大きな事務所や職員はいらんやろ・・・な
地方の のんびりムードなムダムダ設備&人員配置的案内所で‘温泉センター’の場所を聞くと
・・・今日は休み・・・との事。仕方なく?500円を払ってまんてん星の湯に入浴。


笠をかぶっての露天入浴は風情有り、後ろには赤谷湖が雄大に見渡せる。

今風のSS風温泉施設には、すっかり興味をなくした私は
侘びさびを感じることの出来ない温泉は、いくら設備が優れていても
内面から沸き起こる、じんわりとした感動が得られず、今一盛り上がらない。

‘温泉センター’をセレクトした理由は、浴槽の周りを‘畳’が取り巻いている・・・
このパターンはなかなか無いし、デザイン的にも素敵だったから・・・でも休みなので・・・。

(大阪に帰ってから気付いたのだが、まんてん星のタダ券カバンに入ってたのに気付きガックシ)

早々にお風呂を上がり、次なる目的地‘法師温泉’へ向かう。

云わずと知れた群馬の秘湯代表だ。

外れた場所にある一軒宿で、古く渋く光を放つ景観は威風堂々の佇まい。

温泉の泉質・デザインともに憧れの存在だったが、
ようやくの思いでたどり着いた私に、いともアッサリと
「日帰り入浴の時間は終わりました」・・・はい、それま〜でぇ! きっつー!

もし皆さんが訪れることが有るとしたら、不味そうな食事に目を瞑り宿泊するか
11時から14時までの・・・確か・・・日帰り入浴の短い時間に予定を合わせる必要があるのでご注意。

かっくしムード満点でマーチに乗り込み、
この旅のメイン目的地のひとつ‘四万温泉・積善館’に向かう。


積善館には四万川?に掛かる赤い橋を渡るという素敵なアプローチ

山越えのショートカットコースを選択したのだが、
これがまた厳しい道で、雪深い群馬の山道には、至る所で残雪がアイスバーン化して点在し
調子に乗って飛ばしていると、いきなり・・・ってな事が・・・。

4時を迎えると雪国の空もどんよりと薄暗くなる。

待望の四万温泉に到着した頃には、もうひと気も少なく、そのうす暗さも相まって活気が無い。

しかし何と言っても‘積善館の元禄の湯’・・・
旅の手帳2月号のページを開いた瞬間、私を凍りつかせたスーパー素敵温泉だ。


素敵なレトロモダンデザインの元禄の湯、なんとも質素な本館客室から望む赤い橋。

アーチ型の窓から零れる光にゆらゆらと輝く5つの浴槽から溢れ出す
柔らかなお湯が、クラッシックなタイルの上で鏡のように輝く・・・素晴らしく素敵です。

しばしの貸しきり状態を満喫し、憧れのお風呂を上がって
その脇にある飲泉を楽しむ・・・が、胃腸に効くとは云うものの美味くはない。


四万の病を治す・・・ところから四万温泉と・・・

元禄の湯で温まり、静かな静かな四万の町へ出掛ける。

先ずは温泉納豆のお店で納豆&巾着を購入し、温泉協会の場所を尋ねる。
「この直ぐ横です」とご主人の案内に従い・・・有りました温泉協会。

しかしながら・・・「新年会の為、本日は16時半で・・・」なんじゃ、そりゃ!
温泉協会で「よってんべえパスポート」を購入するはずだったのに・・・。

それならば、HPをお持ちの蕎麦屋‘中島屋’で購入しよう・・・と向かったのが5時頃。

ここでも販売されるパスポートには、 四万温泉の案内やクーポンがちりばめられており
なかなか楽しそうなパスポートなので・・・と、100円払って購入。

ついでに、9時閉店のこの蕎麦屋の奥さん?に「今日は何時までですか?」と尋ねると、
「まぁ あと1時間くらいで閉めます」・・・嘘やろ?5時やで・・・まだ。

積善館の不味そうな夕食を食べてから、外湯を廻り、小腹をすかせて蕎麦を食しに来る
・・・そんなプランで四万の街を楽しもうと思っていたのに・・・。

まぁ良い、とりあえず四万ダムの辺にある共同浴場‘こしきの湯’に向かう。
・・・しかし真っ暗・・・夕方5時過ぎで、もう終わってます。

続いて向かうは‘川原の湯’・・・さっき空いてるのを見たし・・・
でも、閉まってます・・・5時半で・・・嘘やろ?

ここで気付いたのが、「よってんべぇパスポート」のクーポン・・・期限切れです全部・・・年末で。
売るか?期限切れのもの・・・恐るべし四万。

そして、ようやく入れたのが、山口露天風呂。
ここも旅の手帳で写真にやられた温泉の一つだが・・・
暗くなってからでは、川の風景が見えず、パフォーマンスのダウンは否めない。

ロケーション的にも向かい岸の温泉宿の客室からモロ見えで落ち着けない。


この写真は翌朝撮影・・・明るい時は綺麗な川が良い感じ

肝心の温泉はというと・・・ヌルイ!実にぬるい!
冬の露天風呂としては、全く温まりません。

何艘かの湯船の一番温かいところでも40度無いのでは・・・
私が上がる頃、夫婦の入浴客が来て、その後おっさん2人とすれ違ったが、
後からのおっさん2人は、かなり寒い思いを強いられるのは間違いなしだ。

しかし大きな期待と共に四万入りした数時間前と今の気持ち・・・だいぶ違う・・・。
長閑な湯治場・・・はいいが、何処もかしこも あまりにやる気なし!
共同浴場は市役所と違うで・・・夕方閉まってどうすんねん!
はっきり言って「ガッカリ四万した」ってのが本音です。

積善館に戻り‘京風弁当’を食そうと・・・蓋を開けると、直ぐ閉じる。
不味そうです・・・ほんと!HPの写真とは雲泥の違いなええ加減さ・・・酷いです。

いろんな‘がっくし’と、昨夜の飲みすぎも相まって
益々気分は悪化の一途・・・素敵な湯治場四万温泉のはずが・・・
旅先でテレビを見て過ごすような非文化人的な事はしたくないし、
もう、ふて寝するしかないのか?

小1時間ほどコタツでふて寝して・・・旅行に来て夜の6時〜7時に寝てるなんて・・・
生まれて初めての体験かも・・・凄いぞ四万!

せっかくの温泉旅行、寝ているだけでは能が無い。
この積善館には4種類のお風呂と2箇所の飲泉所があり、
スタンプラリーを楽しめる様になっている。

普通の旅館ならスタンプラリーってのもおかしなものだが、この積善館・・・
本館にはじまり増設された2つの新館との複雑構造な旅館で、
全て制覇するのは、少々難解な通路をクネクネと走破する必要がある。


本館と新館をつなぐ連絡通路・・・怪しげです。


杜の湯と名づけられた広い露天風呂は自然に囲まれ爽快な気分だ。

噂の美人女将とすれ違い(それほど私のタイプでは無いけど)
一番奥の露天風呂へ・・・この露天は気持ち良いです、貸切だったので泳ぎました!


新館の飲泉所、本館に展示された歴代女将の櫛・かんざし。

夜の元禄の湯外観と岩風呂(混浴&女性専用時間有り)

岩風呂、飲泉と次々制覇し、 これでスタンプラリー完成まで家族風呂を残すのみ。
明日朝一番に元禄の湯と家族風呂を楽しむことを決意。

部屋に戻り不味そうで不味い京風弁当を半分食べて寝ることに。
明日は楽しい旅になりますように・・・。

一人旅 期待と現実裏腹に 寂しく更け行く冬の四万かな・・・さみしいぃ!

 

1月24日(水) 四万〜川原湯温泉・草津温泉


朝一番、やっぱり元禄の湯からスタート!

アーチの窓の下には金魚の浴槽・・・でも、全く動きません、出入り口、入らなかったけど暗くて狭い蒸し湯も有り。

名物の赤い橋、美しい浴槽、注湯口は見事に温泉成分で・・・、アーチ窓にこぼれる朝の陽。

昨日のガッカリ感を打破すべく、やはりこの日のスタートは元禄の湯から。

朝一番の貸しきり入浴を満喫し、今度は家族風呂へ。
これでスタンプラリーが完結だ。


可愛い家族風呂には、赤ちゃん用のベッドが・・・つぼ湯並みの可愛いサイズ。

やはり今一な朝食をかたずけ、早速チェックアウト・・・しかし、
フロントに係りがいない・・・、待てど暮らせど現れない。
普段着姿の館主?らしき人物が現れたが、「もう少しお待ちください」・・・だけ。

散々待った挙句、登場したフロントマン・・・しかし、
一目で長々と待ってイライラしている私を見ながら、なんと伝票整理を始める始末。

「待ってんねんけどなぁ」・・・「すみません」・・・しかし、またそこからがトロい。
「なぁ、早く出発したいんやけど」・・・。

風呂は最高・歴史もデザインも最高、だから勝手に客が来る、
でもそれに胡坐をかいて、掃除もろくにしていないし、設備もボロイ・・・風情とボロイは違うで。

何よりも サービスマンとしての心配りが成っていない!

ホントに頑張れよ・積善館!そして四万の人達。

憤り収まらず温泉協会へ出向き「よってんべぇパスポート」を付き返す。

購入したものの使えなかった旨など、ガッカリした思いを伝える。
当然ながら返金の言葉は無い・・・100円なんて良いんだけど・・・。

そのせいか、この日記をUPする頃には、HPなどから
パスポートの項目は消えていた・・・消すよりちゃんと刷新して頑張ろうぜ!

「四万って八木さんが思ってるような所じゃ無いですよ」・・・
前日K越氏が呟いた言葉に妙に重みを感じながら、お風呂だけの四万を後にした。

すみません・・・ぼやきばっかりで・・・でも、ここからはHappy Day!楽しいですよ。

四万から車で30分ほど、数年後にはダムの底に沈んでしまう川原湯に到着。

朝早かったので、メインの‘王湯’は開店前、という事で‘聖天様露天風呂’に向かった。


雪の残る山の階段を登った所にある可愛い露天風呂は、地元の子供たちが掃除している・・・素晴らしい!

山側の斜面にへばりつく様な階段を登ると現れるプリティーな露天風呂。

四角い湯船と簡素な脱衣場だけのお風呂だが、
眺望ヨロシク朝の爽快な風を受け、貸切のゴージャス入浴。

そして、来ました!硫黄臭・・・待望の温泉香り・・・嬉しい!
水上・四万のクリーンな弱アルカリ泉を巡ってきたが、温泉はやはり こうでないと!

朝1番ということも有り、お湯の量が満タンに成り切っていないが
この旅で初めて出会う温泉らしいお湯に大満足。
地元の子供たちがメンテナンスする、素敵な歴史観あるお宝露天風呂だった。


山の朝風そよぐプリティー露天風呂、田舎ならでは・・・道祖神と女股神?赤面しそうな聖天様。

湯上りに聖天様をお参りし、待ちわびた名湯「王湯」に向かう。


厳かな佇まいの外観・・・ワクワクしてきます。

この旅の中で私自身 泉質的に一番気に入ったのが、ここ王湯のお湯だ。

少し別府の竹瓦温泉チックなメゾネット脱衣場?から階段を下りると
意外と小さな浴槽がある。

しかし このお湯が凄い!少しトロみを帯びたかのような重量感のあるお湯は、
しっかりタップリの硫黄臭と見事に響きあい、まさに「王」の名に相応しい風格がある。

しかも温まり方が半端ではなく、ずしっと芯から温まり「これは湯冷めしそうに無いな」と
容易に想像できる底力ある温泉だ。

静岡から車で7時間掛かる野反湖畔に別荘を購入し、
「ブラックブルーレインボウ」という幻のマス釣りに没頭されている先客様は
車で30分走り、足しげく王湯に通われているらしい。
山ほどある群馬の温泉の中から、この湯を選ぶ・・・・納得の泉質である。


せっかくなので一緒に記念撮影!

短時間でシッカリ温まり、一度服を着て別棟にある露天に向かう。
こちらは貸切だが、自分的には内湯のほうが風情あって宜しいかと。


ケロリンな露天、源泉温度は なんと80度!先程の先客さんと再び記念撮影!

この名湯が何年か後にはダムの底に沈む・・・何とも悲しい話だが
移設の話も有るらしく、いかにこのお湯が人々に愛されているかと云う事が伺える。

しかし気持ちいい!王湯最高!あぁプーちゃんに乗ってオープンドライブしたい・・・
しかしそれは叶わぬ願い・・・仕方ないからマーチの窓を全開にして
次なる目的地、この旅のメインイベント!草津温泉に向かう。

145号線から292号線へチェンジし山を登っていくと さすがに寒い。
マーチの窓を閉めてワインディングロードを進むと、
ようやく「ようこそ草津温泉へ」の文字・・・来ましたよ・草津!憧れのキング温泉地!

先ず 向かったのが品木ダム水質管理所だ。

強酸性の草津温泉ならではの記念品が製作できる、素敵な体験施設だ。

百年石という温泉ならではの石に、ペンキでペインティング。
3〜4日 草津の湯に沈めて浮き彫りになった石を、宅配便で後日発送して頂けるという
何とも親切で、しかも料金は着払いの送料のみ・・・涙。


ペンキ塗りたての百年石・・・大阪に戻ると、レリーフ状態になった表札が届けられる。

大阪から来た事や、子供たちのぶんも頼まれてる旨
施設のおじさんに話したら、やさしいです田舎の方は・・・
写真左の表札は、わざわざバックヤードに探しに行ってくれた特大サイズ。

そして右は「せっかく遠い処から来てくれたから」・・・と、おまけしてもらった石だ。
本当は一人1個だけなのだが・・・。

旅を楽しみながら、旅から帰れば思い出の品が届けられる。
これは本当に素敵な企画&サービスです。

思い出の記念品を作り終えたら、万座に向かおうと思ったが
やはり明日のお楽しみに回し、この24時間 しっかり草津を堪能しよう!
と、先ず最初に発見した外湯「煮川の湯」にアタック。


来たぁ〜!これです!木と光と湯・・・日本人のDNA奥深くに刻み込まれた喜びだ。

いきなり最初の温泉がイキナリ渋い!しかも熱い!
強酸性に熱さが加わると、かなりハードだが、真の温泉アスリートとして
尻込みしている訳には行かない、入湯あるのみだ。

強酸性といえば湯布院の塚原温泉の湯も素晴らしかったが、
ここ草津のお湯は、また違った感じの強酸性湯だ。

きりっと引き締まる熱くて荘厳な湯は、硫黄臭もタップリで
ゆったり・のんびり温泉気分・・・なんて世界と正反対!
圧倒的な力感あるお湯が、 緊張感を伴う温泉武士道である。


憧れの草津温泉第1号制覇・気持ちいい!

昼食を中華で済ませ、直ぐ横の大滝乃湯(ゆもみ体験可)は
何となく最近のスーパー銭湯風なので、興味が沸かない・・・パスだ!

言い忘れていたが、草津温泉の18ある外湯・共同浴場は全てタダ!
しかも掃除中以外は24時間入浴可能!
これが草津の凄いところ・・・ワンダフルだ。

続いて訪れたのは、何とも広大なスケールで圧倒する西の川原露天風呂だ。


荒涼とした風景の賽の河原ならぬ西の川原・露天は紺碧で広大、凄いです。

ここ西の川原露天風呂も貸切、しかもこのスケール!
広さだけではなく目に映えるブルーグリーンの湯と白い湯煙&雪。

大自然の荒々しさと、湯のぬくもり。
目にも美しいコントラストは、日本人にとどまらず世界的温泉地・KUSATSUを訪れる
多くの外国人客をも魅了すること間違いなしだ。

しかし 恐るべし草津の湯、足首の肌荒れ部分が強酸性に耐えかね赤々と腫れ出した。
まずい、共同浴場は後 17箇所・・・征服するには少々不安が付き纏う。

湯畑横の薬局でバンドエイドを購入し患部を保護・・・これで再び臨戦態勢が整った。
しかし高いバンドエイド・・・一番安いので680円・・・草津は薬局まで強酸性だ。

日本一の自然湧出泉として、毎分36,000リットル以上、
ドラム缶にして約25万本分もの温泉が湧き出る草津。

そのシンボルである湯畑を散策した。
木桶を源泉が流れ、自然の空気にふれるうちにできる湯の花を採集する場所でもある。

黙々と立ち昇る硫黄臭を帯びた湯気の下には、
荒々しい岩肌と、いい感じに古光りする木桶の列が並び
湛えられた湯はブルーグリーンに煌めく。


自然のエネルギーを存分に溶かし込んだ強酸性の湯は、圧倒的な美しき流れを魅せる。

自然の力と人の力が相まって「これぞ日本一の温泉草津」と唸らせるシンボルだ。

この湯畑のすぐ横にあるのが、白旗の湯だ。
観光客がひしめく場所にあるので、正直期待薄で訪れたが
これがまた、予想を裏切り素晴らしいデザイン&お湯であった。


木と湯と光りが見事に溶け合う素敵デザインの白旗の湯。

ピカピカに湯光りする気の床に、温度差のある2つの湯船から立ち昇る湯気が
高さのある格子状のタワーを、ゆっくりと昇華する。
・・・良いです、気に入りました・・・ので、翌日も入浴しました。

続いて訪れたのは「地蔵の湯」、ここも人気のお風呂だが
ちょうど立て替えたばかりで、ピカピカになった建物に少々ガッカリ(変?)。


ぴかぴかの建物の横に鎮座するお地蔵さんの後ろに青く輝く草津の湯。

でもお湯は、草津の中でもトップクラスの柔らかさで、
「よく練れた感」のあるお湯はファンも多いらしい。
併設する施設では「時間湯」の講習会が行われていたが、見学できる空気ではなかった。

旅館街にある、可愛らしい「千代の湯」にも入り、
この日の宿 民宿‘美津木’にチェックイン!
メインはあくまでも温泉、一人で泊まるので宿代は安ければ安いほど良いのだ。

玄関を開けると「八木さんですか」・・・なんで解るねん?と思いつつ「はい、こんにちは」。

「さっきから、八木さんですか?ばっかり言ってるのよ」・・・
「やっと本物の八木さん登場だ」って、少々‘アジャ コング’が入った気のいい女将さん。
気のいいのは良いのだが、まぁ よくしゃべる。

ロビー?のテーブルに腰掛けて、世間話しながらのチェックインは
優に10分を超える大変な?儀式で、ようやく部屋に通された時の安堵感は想像に易いだろう。

シンプルな室内は昨日の積善館同様だが、値段は半分、その上温もりがある。
夕べのがっくりとは反対に今宵はほっこりいい気分に成れそうだ。

泊まり支度も完了し、カメラのバッテリーの充電も、まぁOK、早速 草津制覇に向けて宿をでる。

とりあえず湯畑近くのみやげもの屋街を散策し、
杜人用の湯の花入りワイングラスや、地酒を購入。
ふと通り過ぎそうな路地の置くに発見したのが「凪の湯」の看板!
呼び込みがうっとうしい、温泉まんじゅう屋のおかげ?で見つけたようなもので
本当に解り辛い細い路地の奥にある。

しかし この凪の湯・・・ネーミングとは裏腹に強烈だ!
少々熱いのは大丈夫な私をしても、強酸性と合いまったこの高温温泉は、
正に灼熱地獄・・・言葉を失い・気も失いそうな温泉・・・
お風呂から上がったときに‘ほっとする’、そう まるでSMの世界と共通するマニアックなお風呂だ。

再び湯畑周辺に戻り、詠人のおみやげのシャーペンや、
群馬限定、下仁田ポテチ・柿の種など買い集め、お腹もすいてきたので
ディナーのお店探しに奔走する。

先ず入った蕎麦屋は、いかにもやばそうな(不味そう)雰囲気だったので失礼し、
もう少しマシそうな蕎麦屋を発見し、入ろうとしたところ暖簾を下げる主人の背中・・・

あぁ・・・今夜もまたトホホなのか・・・と不安がよぎるが、ふと後方に光るネオンサイン・・・BAR発見!
早速 情報収集も兼ねて入ったが、いかにも営業中ムードのネオンサインにも関わらず
「すいません、まだなんです・・・7時からです」・・・またか?

ここで退散すれば、またしても「がっかり四万した」の続きになってしまうので、
せめて美味しい店でも教えてもらおうと、マスターに尋ねたところ
「僕は 個人的に、湯畑横の‘暖’ってお店の生姜焼き定食が好きです」との事。

「よっしゃ!言ってくるわ」と、少しワクワクした気持ちで、すっかり夜に成った湯畑に向かう。


何故かクリスマスムードな夜の湯畑

1000円均一の、土産物屋の横の細い階段を登ると、居酒屋‘暖’がある。


雪国のスポーツ新聞は1面がスケート&スキーだ、とんび焼き・・・アテに最高。

ビールを飲りながら、アテに注文した「とんび焼き」(イカの口ばしの塩焼き・・・おそらく冷凍だが秀逸)を
つまみながら、メインの「生姜焼き」の登場を待つ。

そして登場した巨大な生姜焼き・・・3センチ近い厚みのロース肉に絡まる
焦がし醤油のタレは香ばしい薫りを放ち、独特な個性を主張する。


少々体に悪そうな風合いのジャンボな生姜焼きは、以外に柔らかくジューシーでイケル!

やっと旅らしい、ほっこりした温かな気持ちに成り店を後にし、
歩いてすぐのところにある‘瑠璃の湯’に入り、続けざまに旅館街にある
鄙びたベリースモール温泉‘関の湯’も制覇。

ナイスな情報を提供してくれたBAR、チョイスに向かう。

銀縁メガネにボロキャップから溢れるロン毛、
ボロボロの歯を惜しみなく披露しながら気さくに良くしゃべる、ファンキーなマスターと、
優香が少し入った可愛いママさんが2人で営業する草津唯一のBARは、
込み合うのは深夜かららしく、貸しきり状態で楽しい時間を過ごさせてくれた。

アラン モルトのハイボールから始まり、ギネスで〆るまで5〜6杯
あれこれ楽しくお話して、ダーツで勝負・・・とはいえ、思いっきりハンデをくれたので何とか
花を持たせて頂いた。

そしてプレゼントに頂いたダーツのフライトが泣かせてくれます!


楽しい草津の夜を過ごさせて頂いたお2人&涙モノの温泉マークフライト。

昨日の四万とは打って変わり、すっかりご機嫌・気分上々!
制覇しなければならない共同浴場はまだ10件もあるが、
今日は既に12箇所のお風呂を浴覇し、酒もタップリ廻っているので、おとなしく宿に戻る事に。

しかし、宿にも温泉が湛えられている・・・そう、ここは草津なのだ。


安い 民宿だが以前は旅館で、その為かシッカリとした温泉が完備されている、温かみのある客室。

お湯が‘若く’そのせいか浴感は‘かゆかゆ’なのが難点だが、これも個性。
(・・・暖の女将さんの話だが「湯が若い」、温泉にもワインに通じる熟成感が存在するらしい・・・)

すっかり上機嫌な草津の夜は、これにてお開きに・・・。

1月25日(木) 草津〜万座・沢渡


穏やかに晴れた草津の朝は、雪景色

翌朝 ご飯は7時45分という事なのだが7時20分を過ぎて厨房を覗くと、
アジャがのんびりと支度をしている。
どう考えてもあと30分以上は掛かりそうなので 、24時間OKの草津の共同浴場。
朝飯前のクイック アタックを敢行した。

朝から人気の喜美の湯と、とても可愛らしい千歳の湯を楽しみ
宿に戻るとアジャが角を生やして‘プンプン’ポーズ。

部屋に運ぶのも大そうなので、ロビーのテーブルで朝食を頂いた。
アジャの接客付きの朝ごはんだが、中々やりますアジャ・・・いや、女将さん。

あれからの時間でこんな立派な朝ごはんが出来ているとは・・・。
品数も野菜も多くて味もよし!一人旅の基本は1泊朝食付き・晩御飯は地元の居酒屋!
ほんと、これに限ります。

チェックアウトを済ませると、再び草津温泉共同浴場制覇に向かう。

睦の湯・恵の湯・こぶしの湯を続けて浴覇。
巽の湯は掃除後で、まだ湯は30センチほどしか貯まっていなかったが無理やり浴覇?
次の白嶺の湯は、おばあちゃんが掃除中のため入れず。
すこしトロみのある良い湯が嬉しい翁の湯でリベンジ。

草津といえば‘湯もみ’だろう。
皆さんおなじみの「草津よいとこ〜1度はおいで〜」のアレである。


瑠璃色のお湯を‘湯もみ’するシーンは、赤系のコスチュームのお姉さんがたがよく似合う。

湯もみが終わると一同礼・・・そして、湯もみ体験・・・楽しいですよ!

熱の湯という湯畑横の施設で現在行われる、アトラクション的なものだが
せっかく草津を訪れて、やらない道理がない。

一通りお姉さま方の湯もみを見学し終わると、希望者を募り体験させてくれる。
体験後には証書と、‘ゆもみちゃん’タオルが貰えて最高の記念品だ。

そして昨日気に入った白旗の湯に際入浴。
上がろうとして体を拭いているところに、TVの撮影クルーがぞろぞろと入ってくる。

「入ってるところ撮る?」と、気を利かせてあげると大喜びで「お願いします」。

しかし寒い屋外から温泉に入ると、カメラのレンズは曇りまくり撮影の段取りが進まない。
照明の熱でレンズを暖め曇りを除去し撮影開始。

「先にこっちを撮ってな・・・」と言っていたのに、あちこち違う所からやり始めるクルー。
「なぁ 頼むから、こっち先に・・・」、そう熱くて強酸性の草津温泉、
じっと湯に浸かりながら段取りを待てるほど甘くは無いのだ。
私の体は既に悲鳴を上げ始めている・・・頼むぅ〜。


撮影の終わったTV撮影クルーと白旗の湯。

ようやく撮影完了・・・中京TVなんで我々の眼に触れる機会は無いので
Amore 八木 の温泉入浴シーンは見ることも無いだろう。

次の長寿の湯も新しく立て直されてピカピカなのが残念?
最後に町営(長栄)の湯に向かったが、団地の中の超ジモティーさや汚さ、
入浴客のタトゥーを垣間見ただけで、その気になれず断念。

一応 これで、18件ある草津の共同浴場は制覇?した。
何か‘行’を完遂したような清々しい気分に成り、楽しく過ごしたジャスト24時間!

草津温泉を後に、次なるターゲット‘万座温泉ホテル’(超絶です)に向けてドライブだ。


空の青と、雪・雲の白が光に映え眩しいくらいの美しさだ。

志賀草津道路が雪のため通行止め・・・この道で行けば万座はすぐだが仕方ない。
一度 山を降りて万座ハイウェイに向かう約1時間半の道のりも
憧れの濁り湯・・・しかも雪景色の中で・・・となれば、苦痛など感じるはずもなく
ひたすら極上温泉へ向けたドライブは続く。

片道 1050円のボッタクリ有料道路も、山上付近は完全に雪の中。
スタッドレスタイヤの威力に感心しつつ、ようやく着きました万座温泉ホテル。

9つの温泉を揃える、超絶温泉旅館は
日帰り入浴も快く受け付けており、そこらのスーパー銭湯真っ青の充実振りだ。
しかも、一つ一つのお風呂に、風呂好きを泣かせる様々な配慮が
尽くされており、感激の連続だ。


ロビー手前に先ず長寿の湯、総ヒノキの広い浴室の床は、美しく機能的なスリット仕様。

雪景色の中の露天風呂で、他の入浴客からいただいたビールを片手に。

温泉に求める総ての要素を凝縮させたかのような、
非の打ち所のない素敵温泉にシビレまくるオヤジはビールを頂戴して、さらに有頂天。

歴史観のある離れの別館には、鄙びた風情があり
鉄分たっぷりの酸性湯で、山の温泉のエネルギーを存分に味わう。

そして皆さん、ご覧ください!この超絶温泉を!


この怪しげなエントランスを抜けると、そこには・・・


雪の白・石のグレー・木のブラウンにブルーグリーンの濁り湯!

もう駄目です・・・完全にやられました!すごいぞ万座温泉ホテル!!
許されるなら、このままずっと此処に漬かっていたい・・・

熱くなれば、上がればすぐにクールダウン。
のどの渇きはツララを折ってしゃぶれば旨いし・・・

しかし、山の天気は移り気で、見る見るうちに雪雲の様相が濃くなる。
吹雪いてくれば、下山の道も険しくなり今夜の宿泊地沢渡へたどり着けなくなるかも?
なので、大いに名残惜しいながら、超絶温泉を後にする。


この状況からさらに悪化すれば・・・早めの下山が正解だ。

帰りも片道1050円のボッタクリ道路を走り、次なる目的地
‘尻焼温泉’に向かうため再び草津を通過する。


狭い川沿いの道路のすぐ下に簡素な脱衣場と、尻焼温泉がある。

雪国のどんよりした空の下、地味な色の景色に退屈しつつ
2時間かけて到着した尻焼温泉・・・野趣あふれる温泉ではあるが、
メインの川底から湧き上がる・・・の場所は、
一組のアベックが居たので入れず、少々 消化不良で 此処を後に。

また地味な景色の中を小1時間走り、ようやく沢渡温泉に着いた頃には
5時を回り、雪国の冬の早い夕暮れが人恋しさを増幅する。

今夜の宿は、三 喜 屋 旅 館 ・・・ネット検索で発見し
いろりと田舎料理を売り物に、気のいい主人がもてなす宿・・・という触れ込みだったが、
到着した宿は玄関の灯が消え、やってないモードバッチリ。

かなりの不安の中、ガラスの扉を開けて「こんにちは」・・・
目の前に、なんとなく現れたのは、例のご主人だろうか?
「・・・」無言で突っ立っているのである。

「大阪の八木ですが」・・・
「はい・・・」・・・?
「予約入って無いですか?」・・・
・・・「あぁ いらっしゃいませ」・・・

「やばい!今夜は、トホホな夜になりそうや」・・・頭の中は不安で一杯。
昨日が楽しかっただけに、やはり今夜は・・・いきなり諦めムード、スイッチオン。

部屋に通され食事の時間などを決めたけど、どうも気分が盛り上がらない・・・それなら
まずは「草津の仕上げ湯」とか「草津の治し湯」と詠われる沢渡の湯を楽しむために
沢渡共同浴場へ向かう。


地元の皆さんの寄付一欄・・・お金でなく‘ドライヤー’などの実用品が面白い。

穏やかで透明なお湯の中には、埃の玉のような湯の花が
あちらこちらに点在し、何となく毬藻みたいで可愛らしい。
ひとまづホッコリして宿に戻り、ぺこぺこになったお腹を満たしたい。

どうやら今夜の客は私一人のようで(もう一組はスッポンみたいだ)、
人恋しい中年オヤジには寒々とした空気が堪える。
嫌々ながら用意してもらった囲炉裏ばたで、一人寂しくテレビ相手の夕餉が始まる。


鯉のあらいが付いたお膳は、予想以上の寂しさ・・・右は楽しみにしていたこんにゃく田楽。

ホームページで想像していた、暖かな旅館の楽しい雰囲気とは裏腹に
一人寂しく食べる冷たい料理・・・こんにゃくも頼んでやっと出てくる始末。

そんなトホホ感を感じとってか、例のご主人が横に座って一杯やりながらお相手を。
あまり噛み合わない会話だが、気持ちだけでも嬉しいものだ。
お酒も1本サービスして頂いたので、今までの事は無しにしよう・・・。

しかし、昨夜の盛り上がりとは打って変わって寂しい夜には違いなく、
‘夜の仕上げ’を求めて沢渡の街を散策するが、
一昨日の四万同様・・・いや、それ以上・・・完全に一件も開いていない。
まだ8時前というのに・・・。

どうも収まりが付かないので、足を伸ばして中之条に向けて走り出す。
ちょっと前にATMを利用したセブンイレブン横に開いてる店が、やっ在りました。
その名も「スナック あじさい」・・・いかにも田舎の、
きっと女の子はジャパ行きさんよ的な匂いがプンプンするお店だ。

地元の常連客の「何や、コイツは?」ムードたっぷりの視線を感じながら入店すると、
「いらっしゃいませー」と迎えてくれたのは予想通りのセッティングだ。


右側がママさん、左は巨乳を武器に地元客を惑わす‘ゆき’ちゃん・・・共に年齢?

後ろのボックス席では、下品な酔っ払いが騒々しいが
まるで人気の無い沢渡でジッとしているよりもマシに感じるのは気のせいか?

ハイボールを4杯ほどいただき、巨乳のゆきちゃんと乾杯して お店をあとに。

旅館に戻ると、草津の仕上げ湯につかり
もうすぐフィナーレを迎える、この旅の事を思い返す。
楽しい1日があれば、トホホな1日が続く。
そう考えれば、明日はきっと楽しい旅になる事間違いなしだ。
そんな希望的先入観を頼りに、沢渡の夜を締めよう。

でも、色々と良い温泉に入ったが、この沢渡のお湯も面白い
先ほどの共同浴場同様に、うっすら毬藻のような湯の花が浮遊するが
若干 色合いが濃いのが不思議で、こちらは黒に近いこげ茶だ。


温風ヒーターの前に風呂桶を置き、自動加湿機に昇華させて睡眠中の乾燥を防止する。

明日はROSOLIO時代の教え子‘トビィ’が待つ藤岡に・・・
久しぶりの対面を楽しみに、眠りに就くAmore 八木 であった。

1月26日(金) 伊香保・水沢・渋川〜藤岡の夜

ウキウキとトホホが交互に訪れる、群馬一人旅。
予定通りなら今日は当然、ウキウキデー。

朝風呂は旅館の温泉だが、貸しきり状態なので
男湯と女湯の‘札'を勝手にチェンジして、檜風呂の方を楽しむ。

やはり今一な朝食を早々に片付け、先ず目指すは伊香保温泉。

ロマンティック街道を榛名山に向けて走り1時間半、
石段で有名な伊香保温泉到着。

真っ先に訪れたのは、観光ガイドにも掲載される有名な露天風呂。
観光客が大挙訪れる前に味わおうと、1番に来たのが大正解。
きれいに整列した風呂桶が、二艘のお風呂と美しいコントラストを現す。


黄土色に濁る温泉は鉄分たっぷりの香り、熱い・温いの二種類がある温泉は朝の光が眩しい。

次第に混み出す露天風呂を後にし、飲泉所で一服。
今度は名物‘山椒せんべい’の製造販売元佐久間せんべい店に向かう。


温泉と水をセレクトできる、気の利いた飲泉所、赤い橋は温泉場の定番アイテム。


コスチュームに着替える可愛いおじさん。

生の木の芽が手焼きせんべいの真ん中に踊るのが、気になって仕方ない。
伊香保に来たのも、このせんべいを見たかったからと言っても過言ではない。
あまりに観光観光しすぎる温泉地に、食傷気味な温中オヤジだから・・・。


1枚ずつ丁寧に生地を広げ、木の芽を乗せて炭火で焼き上げる職人技。

今の時期は塩漬けにされた木の芽を戻して使用・・・焼きあがった可愛い山椒せんべいを1枚下さった。

甘いものが苦手な私も、世界最高のハーブ‘木の芽’を使うとあっては無視できず、
山椒せんべいに立ち寄ったが、実直な職人さんの技や人柄に触れいい気分になる。


物々しい警備の老舗旅館裏

皇太子さんが宿泊に来ているらしく、たくさんの警官の姿が、温泉地ののどかな景色に浮いている。
昼ごはんを中華そばで済ませ(ハズレ)、今度は石段の湯に入浴。
歓楽的な風景には興味ないので、石段エリアを省みることなく、
はずした昼飯のリベンジをすべく、水沢に向かう事に。

その前に、もうすぐお別れするマーチのガスチャージ。
しかしガソリンスタンドの従業員が、まるで駄目ダメ!

元気の良い「いらっしゃいませー!は、当然?ながら無く
数人居るはずだが、仕事してるのは、おじさん一人だけ。
後のやつらは部屋の中でだべっている・・・。

満タンを告げトイレに行ったが、戻ってみてもマーチの窓は泥だらけ。
ボケッとガスチャージ中の兄ちゃんの目の前で、セルフで窓を拭く私に
申し訳無いとか、そんな様子も無く変わらずボケッとしている。

自分のするべき事を、お客さんが仕方なくやってるのに、反応も反省もなし。
清算の時、おじさんに「ここのスタンドは、客が窓拭きしないとアカンのかいな?」
・・・「拭きませんでしたか?」・・・
あんたの目の前でもあるで・・・ほんま、呆れてものが言えません!
私に文句を言われた腹いせは、別のおばはんスタッフに向けられ
やはり、反省の気配なし・・・。

ほんま、頑張ろうや!群馬の人々。

味・サービス共にがっくりの中華そばの口直しは、
こちら方面では有名な「水沢うどん」の店に。

途中 水沢観音の前を通るので、先にお参りする事に。
しかしまぁ、このお寺・・・商魂逞しいです、ほんと。
あらゆる所で、お金を落としてもらうように抜かりなく設えてあるのだ。


巧みな技が施された本道の軒や、六道輪廻を表す六角堂をくるくる回る。

おみくじだけでも何種類有るのか?私は扇子おみくじで、定番の?末吉。


なぜかここだけ千社札ベタベタの堂&一打百円なりの鐘つき堂

美術館のようになっている別館では、特別に無料で?十二神像をはじめ
様々な仏様の工芸品が見られるが、きっちりレプリカの販売も準備されている。

なんか有り難いのかどうか???な、水沢観音を後に
水沢うどんの田丸屋に向かう。

水沢うどんって、こんなに盛り上がってるの?と不思議なほど、大型うどん店が何軒も並ぶ。
その中でも評判のよさそうな店が田丸屋だ。


デザインされたエントランスには巨大な招き猫がお出迎え&噂の水沢うどん。

ちょっとボリュームが少ないが、これで大盛りの水沢うどん。
がしっと歯応えが有り、重い触感のうどんだが結構いける。
つけダレが関西風のすっきりした出汁で、上州の人にも受けるのだろうかとの心配はご無用?
よく流行っているお店だ。

さぁ いよいよマーチとのお別れに渋川の駅に向かうが、
まず大きな荷物は宅急便で呑酒庵に送る。

マーチを返却に訪れたが、駅レンタカーの方は食事中?居られないので
これ幸いと、不思議な宇宙温泉?スカイテルメ渋川に向かう。


何とも不思議でサイバーなデザインの温泉施設だ。

お湯のほうは、大阪層郡と似たような少しお茶のような色の温泉で良く温まるのだが、
この設計にも拘わらず、空中温泉的な絶景は望めない
お馬鹿設備のガラス壁で、入浴しながらの眺めは遮られ、せっかくの建物も台無しである。

何故か田んぼの中にポツンとそびえる、デザイナーズ温泉も
お役所の息が掛かれば、輝きを放てず宝の持ち腐れだ。

再び渋川の駅に戻り、レンタカーのマーチを返却し
ここからは列車の旅になる。


味噌味の焼きまんじゅうを注文、詠人のニックネームなちびまんじゅう、吉永小百合ポスター。


雪深い地方ならではの扉を自分で開けるボタン、八木原の駅、のんびりローカル線の旅

高崎まで普通列車で行き、そこから藤岡まではローカル線に乗り継ぐ。
でも、トビィの住む藤岡がまさかこんなに田舎とは・・・

早めに到着したが、時間をつぶせるような店も無く、
仕方なくレトロデザインの市内周遊バスに乗り込み適当な暇つぶし場所を探す。


何とも艶めかしいネーミングの停留所名

いつまで乗っていても、適当な場所が無さそうなので、運転手さんに
「どこかお風呂内ですか?」と尋ねたところ、「2つ前の停留所のところに・・・」
仕方なく25分歩き栗栖の里という養生施設?にたどり着き、一風呂浴びる。

風呂上りに宴会場?な大広間で、この旅の入浴温泉を整理していたら
いきなり始まるカラオケ大会・・・何なんやここは?
と、不思議ムードに包まれているときに、お迎えのトビィ登場。

何と私のために仕事を休んで、自宅でもてなしてくれるとの事。
さっそくトビィの家にお邪魔し、可愛い子供たちと共に今夜は賑やかな夕餉が始まった。


若くて可愛い女性のお酌は堪らない、先ずは再会を祝した乾杯、婆ちゃんのこんにゃくは私のリクエスト。

賑やかな食卓は、何よりも暖かい、私のお土産の温泉まんじゅうチョロQで遊ぶ子供たち。


普段は人見知りのお嬢さんも、すっかり懐いてくれて・・・、子供を寝かすと大人時間の始まり。

地元の野菜料理中心のもてなしは、おっさんの体と心に染み入り
とても豊かな気持ちになる。
昨日のしょんぼりムードとは大違いの楽しい夜は、
子供たちの賑やかな笑い声と、仲のいい夫婦の笑顔に包まれ更けてゆく。

ビールに日本酒・焼酎などペースは上がりっぱなしだが、
やっぱり呑み助はBARにも行きたいもので
地元のBARにも出向き、新たに乾杯!


男前のマスターと私、そしておもろいトビィで記念撮影。

ウィスキーなどを3杯ほど飲んで(もう限界?歳やなぁ)トビィ宅に戻り
みんなが寝静まる仲、気持ち悪いツーショット!


この日最後のショットは、お見苦しいものとなりましたが・・・

5年ぶりの再会を楽しみ、最後まで温かいもてなしをしてくれたトビィと家族に感謝し眠りに就く。

1月27日(土) 群馬〜大阪


お目覚めはカワイ娘ちゃんのモーニングコール?

昨夜 余程楽しかったのか、朝1番にも私のもとを尋ねてくれたお譲ちゃん。
何より可愛いモーニングサービスだ。


気持ちよく晴れた藤岡の朝、私の荷物を車に運んでくれるトビィ&彼の愛車CBX。

ばっちり二日酔いのまま、高崎まで車で送ってもらいお別れだ。

ほんとにありがとう!トビィ家のみんな!
今度は是非・大阪に遊びに来て頂戴、その時は思いっきり旨いもんでお迎えするからね!


ユニークな街路樹の姿、チャレンジしたものの4分の3残した高崎駅のそば、雪国らしいディスプレイ。

二日酔いの体にはしょうゆ味がツンの蕎麦はハードに感じ残してしまう。

しかし大阪までの列車の旅・・・ボーっとするのも勿体無い?ので、駅弁を購入。


私は「上州の冬&冬物語」、詠人の土産は「だるま弁当」、杜人には「岩魚寿司」

子供たち用にもそれぞれ購入し、旅は最終章へ。

東京での乗り換え時に電話で、錦華鳥のモカとプランが今日死んだ旨を聞き
ショックで言葉にならない。

自分が楽しい思いをしている時に、預けていた先で・・・可愛そうに。

それでもお土産の駅弁を喜んで食べる子供たちの笑顔に癒される。
この次はお前たちを連れて行ってやるからな!

あの超絶露天風呂「万座温泉ホテル」など・・・きっと。

ウキウキとトホホが交互にやって来る、Amore 八木 の群馬一人旅は、

これにて 完。

最後までお付き合い頂いた素敵な文化人の皆様、感謝・合掌!